日本医学会連合の研究倫理委員会は7月27日、国際的な研究倫理規範への対応を加盟学会と医学研究者に求める「提言」を公表した。STAP細胞事件やディオバン事件など日本人研究者による研究不正が発生している問題に言及し、日本の医学研究が国民や海外から信頼を回復するための提言を示している。
具体的には医学研究者に対し、①国際的な研究倫理規範について精通し、研究結果の再現性と客観性を確保するために必要な最新の知識に習熟しているべき、②公表内容とオーサーシップの妥当性の担保に努め、ネガティブデータを含め内容を十分に開示すべき─などとし、学会に対しては③研究発表を行う会員に対し研究倫理に関する基本事項と対応法について予め学修するよう義務づけることを考慮すべき─と求めている。
会見した市川家國委員長は、「国際誌が求めるルールに日本人研究者の知識が追いついていない」と指摘。提言をきっかけに「(研究倫理の)国際的なカルチャーを身に付けてもらいたい」と期待した。また、研究倫理の学修機会については、現在、市川氏が代表者を務める研究チームが日本医療研究開発機構(AMED)の事業として、国際的な研究倫理規範を学ぶ教材の作成を進めていることを紹介。来年度には完成するとの見通しを示した。