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現役メンターと学ぶ 原著論文執筆の壁とその越え方

大丈夫! あなたにも書けます! アクセプトされる原著論文の書き方

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著: 一二三亨(聖路加国際病院救急科 医長・CCM,HCU室長)
判型: A5判
頁数: 272頁
装丁: 2色部分カラー
発行日: 2024年08月08日
ISBN: 978-4-7849-2493-6
版数: 第1版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

大丈夫! あなたにも書けます!
アクセプトされる原著論文の書き方

●実際に原著論⽂を書くためにどのようなトレーニングをどれだけ⾏えば良いのか?
●論文執筆の指導者には誰を選ぶべきか?
●査読とreviseにどう対応すればアクセプトされるのか?

そんな悩みに,現役トップクラスの論文執筆指導歴を持つ著者が答えます!

目次

本書の発刊に寄せて 黒田泰弘

序文

総論 なぜ論文が書けない? その見えない壁を見えるようにします。

Part 1 論文を書く前にまず不安を解消します。知って得する,安心する。

1 なぜ原著論文を書くの? 原著論文を書くと良いことがあるの? 良いことがあるとしたら何? これに答えられますか?
2 これ,論文にしていいのかな? 同じ研究がもうすでにある…。アクセプトされなかったらどうしよう,不安です…。お答えします。
3 論文が書けない…。今までの本を読んでも書けなかった…。同様の本はたくさんあるよね? この書籍はどこが違うの?
4 学会発表はたくさんしてきた。でも論文は書けないかも…。学会発表と論文報告って何が違う?
5 読めないと書けない。論文を読んでいますか? 意地悪に言うと読めていますか? 論文を読むコツは?
6 5大医学雑誌, 最近こんな流れに変わっています…。論文も変化しているんです。ついていけていますか?
7 英語に自信がないのですが…。私で大丈夫ですか?
8 大学院に入れば原著論文が書けるようになる? 書けますよね? 原著論文を書く予備校みたいなところですよね? 大学院の生活を知っていますか?
9 公衆衛生大学院と一般大学院(博士課程)は原著論文執筆において何が違うの? なぜ一般大学院(博士課程)がスタンダードと言えるの?
10 私, 看護師なんですけど…。英語原著論文を書けますか? 書けるようになるにはどうしたらいいですか?
11 私, 臨床工学技士なんですけど…。英語原著論文を書けますか? 書けるようになるにはどうしたらいいですか?
12 アカデミアって何が素晴らしいの? 無限の正解と自由な発想の世界…。息苦しいこの世から離れて。

Part 2 論文を書くためのヒミツを教えます。まず一緒に始めましょう。

13 良い指導者はどういう指導者? もう出会っているかも。探し方は? どこで出会う?
14 良くない指導者はどういう指導者? あなたの指導者はどっち? 良くない指導者に指導を受けるとどうなる?
15 あなたが指導を受ける立場で最も必要な要素は? これがないと,いくら指導を受けても成長なし。
16 原著論文が書けるようになるトレーニングは? ズバリ!! アカデミア筋の筋トレです。
17 PubMed検索の仕方,これくらいで十分です。難しいことは言いません。これだけは最低限やってください。
18 アカデミア筋のトレーニング,どれくらいできれば十分でしょうか? 目安を教えます。さあ,これで準備運動は終了です!
19 査読のススメ
20 原著論文の種類とそこから得られる結果の意味
21 医師の働き方改革で自己研鑽がつらい。ただ, 医師以外の先生もそもそも臨床と研究が両立できない。どうしよう。実は…時間ありますよね?
22 統計解析の専門家(統計家)とのコラボのススメ


各論 では具体的に一緒に書いていきましょう! 壁を越えながら…。必ずゴールにたどり着けます。

23 そもそもリサーチクエスチョン,きちんと立てられる? リサーチクエスチョンやPI(E)COがきちんと考えられたら,もうマスター。ではどうやったら考えられるの?
24 書くときに一番大切なこと。誰に向けて書くの? 頑張った自分のため,査読者,読者のため?
25 原著論文は英語で書く? 日本語で書く? どっちがいい?
26 症例報告やletterよりoriginal article(原著論文)を書いたほうがいいです。なぜ? かかる時間や労力,お金を徹底比較!
27 論文を書きます(総論として…)。どういう順番で書くのが良い? そもそも順番があるの?
28 図表を書く。解析には十分なエネルギーを費やしましょう。図がすべて! 綺麗な図はどうやって生まれる? 偶然 or 必然? 流行の図,真似たいですよね。
29 Titleを書く。Titleで気をつけるポイント,ズバリなんでしょう。
30 Methodsを書く
31 Resultsを書く~査読者,読者を意識した結果の書き方とは?~
32 Introductionを書く
33 Discussionを書く
34 Conclusionを書く。Conclusionに何か決まりごとはある?
35 Abstractを書く
36 reject の受け止め方とその対処法
37 査読に対する答え方を教えます。revise(revision)にどう対応する? 知っておけばアクセプトの可能性大。
38 アカデミアにおける「勝ち」と「負け」,「負け」とは?
39 壁の向こうへ

巻末資料

索引

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序文

この書を手に取ってくださった皆様に,
目に留めていただいた皆様に

 まず,本書『現役メンターと学ぶ 原著論文執筆の壁とその越え方』に興味を持っていただきまして心から御礼申し上げます。
 本書を手に取っている方の多くは,大学院に入って原著論文執筆の難しさに少し焦っているか,漠然と「原著論文を書かなきゃ」という圧力にさらされているのだと思います。中には自分から原著論文を書いてやろう! という強い思いをお持ちの方もいらっしゃると思います。いずれにせよ,辛い立場の場合には本書が何らかの良いきっかけになる,あるいは少しでもメンタルを楽にさせる“薬”となる,また強い思いをお持ちの方にはさらなる起爆剤となれば幸いです。
 私自身をPubMedでhifumi toru [au]で検索すると(2024/07/02に検索),論文数は222, そのうちsecond authorの英語論文が77あります。second authorは,実質的な指導をする立場(やや大袈裟ですが)で論文作成に関わります。その数が現役トップクラスで,多くのfirst authorの先生方の論文執筆に関わることができました。その中でもfirst authorの先生方の人生初の英語原著論文に携わることができたことは大変なご縁であり,その貴重な経験をもとに本書を執筆しました。
 “論文の書き方教えます”とか“発表の仕方教えます”といった同様の論文の書き方の本は,確かにこれまでもあったと思います。ただし,本書は今までの書籍と異なります。
ポイントは5つです。

①より楽に
原著論文が書けるように,出くわす壁(つまずき)に対するその越え方(明確な答え)を用意します。
②安心して
長い期間にわたって本書を利用できるように,5大医学雑誌の最新のトレンドを踏まえた内容にしています。
③体力をつけて
しっかりと原著論文が書ききれるように,アカデミア筋トレの詳細をすべてお伝えします。
④お得に
「お得な補足」として実際に原著論文を書く際に有益な情報を,ポイントを絞って提供します。
⑤リアルに
原著論文執筆がイメージできるように,実際のエピソードをふんだんに使用して解説しています。

 本書を読んでいただきたいのは,原著論文をこれから初めて書こうと思っている方だけではありません。すでに1~2回原著論文を書いたことがある方,さらにこれまである程度経験があって殻を破りたい方にもおすすめです。医師だけではありません。看護師や臨床工学技士に対する私自身の指導経験に基づく具体的な記載をしていますので,薬剤師さんを含めた医療従事者皆様に是非ともお読みいただきたい内容です。また,若手を教える立場の指導者クラスの方にも,ぜひともお読みいただきたいです。原著論文のポイントをかいつまんでまとめていますので,指導の参考にしていただければ幸いです。原著論文の書き方のハウツーのみならず,原著論文を書くことで得られる価値観にまで言及していますので,ぜひとも読み物として楽しんでいただきたいと思います。
 私自身は,本書をまとめることで,原著論文を書くことはそれほど途方もない作業ではなく,一定のポイントさえ理解すれば誰にでも可能で,でもずっと続けていく必要があることを読者の皆様にお伝えしたいと思っています。
 最後になりましたが,「本書の発刊に寄せて」をご執筆いただきました黒田泰弘先生は,私自身が原著論文の書き方を最初にご指導いただいた先生であり,またその後のたくさんの大きな研究をサポートいただきました。改めて感謝申し上げます。本書の制作に関して,日本医事新報社の長沢雅さんには全体の構想から細かな原稿のニュアンスの部分まで,私の疑問をその都度,丁寧に解決していただきました。たくさんのやりとりの中で自然と様々なアイデアが新たに思い浮かび,また自分自身の考えを整理することができました。本書の執筆を通じて様々なアカデミアの価値観を共有できたことに感謝申し上げます。
 本書では実際の若手学習者とのエピソードを多数取り上げております。また,このようにまとめることができたのは,今まで多くの先生方にご指導いただき,ここまで導いていただいたおかげです。こうしたすべての皆様に改めて感謝の意を表したいと思います。

2024年7月

聖路加国際病院救急科 医長・CCM,HCU室長
一二三 亨

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レビュー

本書の発刊に寄せて

⿊⽥泰弘(⾹川⼤学医学部救急災害医学 教授/⽇本集中治療医学会 理事⻑)
私はこれまで多くの医学雑誌の査読や編集委員を担当してきましたが,内容はとても良いのに,イントロダクション,考察,図表などの作成方法を教えてもらっていないという“惜しい”論⽂を⽬にしてきました。その都度「所属施設の責任者に必ず⾒てもらってください」と査読結果を書くのですが,なかなか整った形の原著論⽂に出会うことは少なかったように思います。そのようなこともあり,私⾃⾝ は多くの医療者の⽅々に原則に則った形での論⽂を書いてほしいとの思いから,2011年に「原著の書き⽅」という解説を,現在理事⻑を務めさせていただいております⽇本集中治療医学会の公式雑誌上に発表しました。

本書『現役メンターと学ぶ 原著論文執筆の壁とその越え方』は,私の弟⼦である⼀⼆三亨先⽣が今まで多くの⼤学院⽣の論⽂指導を行ってきた中で勝ち得た知識と経験を⼀⽣懸命に書き上げた書籍であり,その熱量たるや原著論⽂の書き⽅のマニュアルを超えて,何か経典のようなレベルに達しているように思います。⼀⼆三先⽣は常々,“実臨床のための研究”との北⾥柴三郎先⽣の⾔葉を繰り返し唱えていますが,本書もその⾔葉に⾒合うように実際に原著論⽂を書くためにどのようなトレーニングをどれだけ⾏えばよいのか,どの指導者に教えを乞えばよいのか? その答えを惜しげもなくすべて記載した実学書になっています。困ったときにどのように対応したらよいかが明確に記載され,また,その⼼理的な背景にまで迫って,どうしたら原著論⽂が書けるのかについて,これほどその問いに真摯に向き合い,こたえようとした書籍は今までなかったと思います。

原著論⽂を書くことは⼤変ですが,本書を読めば原著論⽂が書けるようになる,そう思わせてくれる素晴らしい書籍です。是⾮とも実際に⼿に取ってお読みいただければと思います。

2024年7月

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