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直腸肛門奇形【直腸肛門奇形の中間位・高位型には仙骨会陰式手術に加え,腹腔鏡下手術が施行されるようになった。また,排便機能のほかに性的な問題も重要で長期フォローが必要】

No.4876 (2017年10月07日発行) P.54

中田光政 (千葉大学小児外科)

吉田英生 (千葉大学小児外科教授)

登録日: 2017-10-08

最終更新日: 2017-10-03

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直腸肛門奇形とは,urogenital sinusをurorectal septumが分割する発生段階の異常で起こるhindgutの形成異常と,さらにはアラントイス管,ミュラー管の発生異常を含む先天奇形の総称である。臨床的には肛門異常で発見されることが多い。病型は高位型,中間位型,低位型に分類される。これは排便機能上重要な括約筋である恥骨直腸筋を直腸末端部がどれだけ貫通しているかの解剖学的位置関係を基盤にしている。また,女児の総排泄腔症は尿道,腟,直腸のすべてが遺残した総排泄腔につながり,外陰部に1つの開口しかない形態で,独立して分類される。

治療は一般的に低位型では会陰式肛門形成術(カットバック法,Potts法,anterior sagittal anorectoplasty)を行い,中間位型・高位型では(腹)仙骨会陰式(Stephens法,posterior sagittal anorectoplasty)のほか,近年では腹腔鏡下に腹会陰式肛門形成術が行われる。

QOL予後の第一は排便機能である。直腸末端の位置が高いほど排便機能は悪く,中には高度便秘や便失禁により毎日の浣腸・洗腸による排便管理を必要とする場合がある。しかし,中間位型・高位型でも成長とともに自己管理が可能となり,社会生活に適応できることも多い。第二に,成人期になり子宮・腟の構造異常や逆行性射精生殖器の合併奇形や総排泄腔症に認める腟狭窄などによる不妊や性交困難症といった,性的な問題が明らかとなる。そのため,直腸肛門奇形は新生児期から成人期まで長期のフォローを必要とする。

【解説】

中田光政*1,吉田英生*2 *1千葉大学小児外科  *2同教授

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