費用対効果評価の試行的導入における、価格調整方法のあり方がようやく固まった。価格調整の基準値は500万円。1QALY(質調整生存年)を得るのに、比較対照品目に比べ500万円以上高い場合、価格の引下げを行う形になる。
費用対効果評価の試行的導入では、総合的評価(アプレイザル)においてICER(増分費用効果比)を用いて価格調整を行う。価格調整に当たっては、ICERの値によって、①価格調整を行わない領域、②ICERに応じて価格を変動させる領域、③一定の引下げ幅(価格調整の上限)で価格調整を行う領域―の3つに分類することが決まっている。
課題となっていたのは、各領域の境界となる基準値の設定。ICERに応じて引下げを行う、①と②の境界は500万円に落ち着いた。中央社会保険医療協議会の費用対効果評価専門部会、薬価専門部会、保険医療材料専門部会の合同会議が25日、厚労省の提案を了承した。
500万円という数字は、参考とする過去の国内調査の50パーセンタイル値が485万円であったことや、医療制度や生活水準が比較的日本に近い英国で、「当該技術の受入可能性は個別に判断される」上限額が 3 万ポンド(436 万円)、「致死的疾患、終末期における治療について当該技術は推奨される」上限額 が 5 万ポンド(727 万円)であることを踏まえ算出した。また、②と③の境界は1000万円に設定。ICERが1000万円以上であっても上限以上の引下げはしない方針も決まった。調整幅については今後検討する。
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