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高血圧と私[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.39

檜垣實男 (愛媛大学大学院循環器・呼吸器・腎高血圧内科学教授)

登録日: 2018-01-03

最終更新日: 2017-12-21

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みなさん明けまして御目出とうございます。昨年は第40回の日本高血圧学会総会を松山で開催させて頂きました。最終日に季節外れの台風がやって来ましたが、学会そのものはなんとか終了することができ、数多くの会員に喜んで頂けたことは何よりの幸せと感じています。

今回は日本高血圧学会創立40周年という節目の年でしたが、私自身にとっても医学部を卒業して40年、人生の師と仰ぐ荻原俊男先生をはじめとして、心から尊敬できる数多くの先輩・後輩・友人らとともに、高血圧学の道を歩んでこられたことは何よりの幸せでした。ところが、現在のわが国の高血圧患者数は4300万人にものぼり、超高齢社会を迎えて患者数は増え続けています。日本人は70歳の時点で70%が高血圧を発症するという疫病並みの蔓延ぶりですが、症状が何もないので、空気みたいなもの。怖がらない患者さんも多く、大きな問題になっています。これまでに高血圧の治療法は著しく進歩したのに、降圧療法の恩恵を十分に受けている患者さんは全患者数のわずか十数%にとどまるという「高血圧パラドックス」が心配されています。

また、血圧をどこまで下げればよいのか、血圧サージに対する対策はどうするのかなど、画一的な降圧治療(量の治療)から、個人の状態に合わせて血圧をどのようにコントロールしてゆくかという丁寧な(質の)治療への転換も進んでいます。さらに、減塩(適塩化)運動による高血圧・循環器病発症の予防など、為すべきことは数限りなくあります。

日本は今や人生100年時代を迎えています。元気で創造的な高年者を数多くつくってゆくために、血圧の至適コントロールは、体のメンテナンスの中でも本丸と言ってもよいでしょう。

私は今年の春、65歳の誕生日を迎え、新たな門出の時を迎えます。生まれ変わった(Reborn)気持ちで一から高血圧の勉強をやり直したいと思っています。

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