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(3)腎機能のモニタリング,腎機能 代替療法導入のタイミング [特集:高齢者CKDへの対応]

No.4799 (2016年04月16日発行) P.39

碓井知子 (東京大学保健・健康推進本部)

登録日: 2016-07-08

最終更新日: 2017-01-26

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  • 腎機能は血清クレアチニン値をもとにした糸球体濾過量(GFR)推算式を用いて評価する。筋肉量が少ない患者や栄養状態が悪い患者では,実際の腎機能よりも良い値となることがあるので注意が必要である

    70歳以上の患者ではGFR<40mL/分/1.73m2,あるいは30%以上の腎機能低下が3カ月以上あった場合に腎臓専門医へ紹介することが推奨される

    透析導入時期の判断は保存療法を行っても進行性に腎機能の悪化を認め,GFR<15mL/分/1.73m2に至った時点で生じる。高齢者においても標準的透析導入基準に沿った透析導入が推奨されている。実際の透析導入は,患者の腎不全症候や日常生活動作(ADL)の低下などを慎重に観察し決断する

    1. 腎機能の評価法

    慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は,腎臓の障害(蛋白尿など)もしくは糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)60mL/分/1.73m2未満の腎機能低下が3カ月以上持続する場合と定義される1)。わが国の年齢別のCKD(GFR<60mL/分/1.73m2)頻度は,60歳代で男性15.6%,女性14.6%,70歳代で男性27.1%,女性31.3%,80歳以上で男性43.1%,女性44.5%であった1)。2014年末の透析患者の平均年齢は67.54歳,新規透析導入患者の平均年齢は69.04歳であり,年々高齢化している2)。新規透析導入患者のうち,65歳以上は68.1%を占めている。CKDや腎機能が低下した末期腎不全(end-stage renal disease:ESRD)と腎機能代替療法(renal replacement therapy:RRT)は高齢者の疾患と治療であると言える。
    腎機能は,血清クレアチニン値をもとにした推算式で評価する(表1)1)。しかし,実際のGFRと推算GFR(eGFR)には乖離がある(図1)3)。血清クレアチニン値は筋肉量,肉類や蛋白の摂取などの栄養状態など,腎機能以外の要因の影響を受ける。筋肉量の低下や低栄養により血清クレアチニン値が低い症例では,実際の腎機能よりも良い値になることがある。一方,シスタチンCは筋肉量や食事の影響を受けにくいため,血清シスタチンC値を用いた腎機能推算式を用いて評価するのも有用と考えられる。3カ月に1回の測定が保険適用となっているが,甲状腺機能障害などで影響される,という報告があるため注意する必要がある。

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