□片頭痛の有病率は~10%,筋緊張性頭痛の有病率は22.3%と頻度の高い疾患である。
□頭痛を伴う疾患の中には,頻度は低いが,髄膜炎,頭蓋内出血,特にくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)といった生命に関わるものもある。
□SAHの約7%が見逃されているという報告もあり1),適切な病歴聴取,神経診察を行うことが重要である。
□頭痛の重症度別・頻度別疾患を表1に示した。
□神経局在所見がある頭痛,5歳以下,50歳以上の初めての頭痛,進行する頭痛は,頭蓋内疾患(出血,梗塞,腫瘍など)を考え,積極的に画像検索を行う。
□頭痛の性状,発熱などほかの症状,頭痛が生じた状況,既往歴や内服歴,家族歴を聴取する。意識障害例では,意識消失直前の頭痛の有無が重要で,家族から最近の頭痛症状や家族歴などを聴取する。
□気道の状態(嘔吐,喀痰の有無),呼吸様式の評価を行う。
□高血圧と徐脈を認める際は,Cushing徴候の可能性がある。
□意識状態は,JCS(Japan Coma Scale)あるいはGCS(Glasgow Coma Scale)で評価する。
□問診のポイントについては,表2に示した。
□意識状態,共同偏視の方向,瞳孔の左右差や対光反射の有無,片麻痺の有無などの脳ヘルニア徴候の有無が,手術適応の決定,病巣部位の推測に役立つ。反応がなければ痛み刺激を加えるが,最小限の刺激にとどめる。
□髄膜刺激徴候(項部硬直やKernig徴候)は,髄膜炎やSAHで認めるが,初期では認めないこともあるので注意を要する。
□神経診察だけでなく,眼の硬さ(緑内障を疑う),顔面の発赤(副鼻腔炎,側頭動脈炎を疑う),心雑音や呼吸音の聴診(感染性心内膜炎を疑う)も行うことが重要である。
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