□胸痛を主訴とする疾患は多岐にわたり,緊急性の高いものが多く含まれる。
□胸痛の診療にあたっては蓋然性より緊急性の高い疾患の鑑別を優先する。急性心筋梗塞,急性大動脈解離,急性肺血栓塞栓症,緊張性気胸などは特に緊急性の高い疾患として鑑別診断が必要である。
□発症様式および持続時間ごとに,疑うべき疾患を表に示した。
□血圧と同時に脈拍数にも注意が必要である。低血圧がなくても頻脈傾向があり,shock index(心拍数/収縮期血圧)>1.0であればショックが進行している可能性を考える。
□酸素飽和度の低下がなくても呼吸数が上昇している場合には,急性肺血栓塞栓症,気胸などの可能性を考慮する。
□四肢の血圧差や高度の高血圧を認める場合は急性大動脈解離を想定する。
□呼吸音の左右差のほか,打診音や胸郭運動の左右差も気胸の診断に有効である。
□緊張性気胸は,ショックを伴う頸部~胸部の皮下気腫,頸静脈の怒張,気管の偏位などから診断し,画像診断を待たない。
□心雑音を聴取しfriction rubを認めたら心嚢炎を疑う。
□患者が痛みを訴える部分に圧痛がないかどうか確認する。局所の圧痛は筋骨格痛や肋軟骨炎にしばしばみられる。
□長身の若年男性の自然気胸,マルファン症候群(高身長,長い四肢,長い指)の大動脈解離など,患者の体形からも推測可能な疾患がある。
□下肢に,急性肺血栓塞栓症の原因となる深部静脈血栓症の所見がないか観察する。
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