□不完全房室ブロックは,刺激伝導系の機能的もしくは器質的障害による房室伝導途絶が発生する病態である1)~3)。
□房室伝導途絶が頻回で心室拍数が著しく低下し,心拍出量が減少すれば心不全を発症し,長い心停止が発生すればアダムス・ストークス発作など脳虚血症状が出現する。
□器質的伝導障害例ではペーシングを必要とし,副交感神経緊張による機能的ブロックとの鑑別を要する。
□薬物や電解質異常,急性冠症候群は一過性の不完全房室ブロックの原因となり,原因薬剤の中止や電解質の是正,原疾患の加療により改善し,循環不全を呈する場合はその間一時的ペーシングでバックアップを行う。
□上記の器質的伝導障害は時に潜在性に存在し,運動誘発性房室ブロックやドキュメントされ難い一過性房室ブロックの形態を呈する場合もある3)~5)。
□症候性3束ブロック例では,不完全房室ブロックが発生している可能性が高い。
□徐脈による心拍出量低下をきたし,労作性呼吸困難,運動耐容能低下となる。
□代償的1回拍出量が増加し動悸が起こる。
□一過性心停止により,めまい,失神をきたす。
□房室伝導(PQ)時間が延長する=第Ⅰ度房室ブロック(伝導途絶は認めず実際には徐脈は引き起こされない)。
□PQ時間が徐々に延長し,伝導途絶となる=Wenckebach型第Ⅱ度房室ブロック。
□PQ時間の延長なく突然伝導途絶となる=MobitzⅡ型第Ⅱ度房室ブロック。
□P波2拍に1回房室伝導途絶がみられる=2:1房室ブロック。
□房室伝導比が3:1以下である=高度房室ブロック。
□高度房室ブロックでは伝導比の低下に伴い,補充収縮が出現する。心拍は補充収縮に依存するようになり,高度の徐脈を呈する。
□基礎調律が心房細動であれば,RRの延長→徐脈。
□胸部X線検査で心陰影拡大,肺うっ血像=心不全の併発を確認する。
□血液検査:BNP上昇。
□心臓超音波検査=基礎心疾患の検索,心機能の確認を行う。
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