□B型肝炎(hepatitis B)は,B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)の感染により引き起こされる肝炎である。感染経路としては,垂直感染,水平感染がある。
□急性肝炎,非活動性キャリア,慢性肝炎,肝硬変などの病期が存在する。
□B型慢性肝炎の初回治療として,ペグインターフェロン(Peg-IFN)とエンテカビル,テノホビルなどの核酸アナログがある。B型肝硬変では核酸アナログが推奨される。
□HBV感染の予防にはHBワクチンが有用である。B型肝炎発症の予防のために適切な対応が求められる。
□免疫抑制薬・化学療法中のHBV再活性化による肝炎を予防するため,ガイドラインに沿った検査,治療が望ましい。
□水平感染による急性肝炎の場合はいわゆる感冒様症状であり,病初期は感冒と診断され感冒薬が処方されている例が少なくない。肝障害が進行すると,眼球や皮膚の黄染,褐色尿が認められる。このほか食欲不振,嘔気,全身倦怠感などが生じる。
□慢性肝炎の場合は急性肝炎でみられるような症状はない。
□肝硬変に至ると,浮腫,腹水,クモ状血管腫,羽ばたき振戦,意識障害などが生じる。
□非活動性キャリアは,抗ウイルス治療がなされていないdrug freeの状態で,1年以上の観察期間のうち3回以上の血液検査において,①HBe抗原が持続陰性,②ALT値が持続正常(30U/L以下),③HBV DNAが4.0 log copies/mL未満,のすべてを満たす症例と定義されている。
□慢性肝炎では,HBe抗原・HBe抗体およびHBV DNA量の測定が有用である。一般にHBe抗原陽性例ではHBVの増殖が盛んで,血中ウイルス量は多い。HBV遺伝子型やプレコア・コアプロモーター変異株の判定は治療効果の予測に有用である。
□肝硬変では,血清アルブミン濃度の低下,総ビリルビン濃度の上昇,プロトロンビン時間の延長,コリンエステラーゼの低下を認める。画像検査では肝の萎縮,脾腫,側副血行路の発達などが認められる。この他に肝臓の線維化マーカーであるヒアルロン酸,Ⅳ型コラーゲン・7S,プロコラーゲンⅢペプチド,M2BPGiなども用いる。
□B型慢性肝炎や肝硬変では肝細胞癌のリスクがあり,AFPやPIVKA-Ⅱなどの腫瘍マーカーおよび画像診断による定期的なモニタリングが必要である。
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