□胆嚢癌(gallbladder cancer)は,早期であれば無症状であり,胆嚢摘出術で完治することが可能な疾患である。
□進行癌となると,肝直接浸潤や肝十二指腸間膜浸潤,リンパ節転移,腹膜播種など,多彩な進展様式を取り,完治することは困難になる。切除不能胆嚢癌に対しては,ゲムシタビン+シスプラチン療法(GC療法)が行われる。
□胆嚢癌は早期であれば基本的に無症状である。
□しばしば胆石に併存し診断される,あるいは人間ドックなどの腹部超音波検査で偶然発見される胆嚢癌が多い。また良性疾患を想定し胆嚢摘出をした後に,病理学的検査により見つかる偶発胆嚢癌も少なからず存在する。
□進行癌になると右上腹部痛を呈することが最も多く(50~80%),黄疸,悪心・嘔吐,体重減少,腹部腫瘤触知,黄疸,腹痛,など様々な症状を呈する。
□胆道癌診療ガイドライン(第2版)では,診断のファーストステップとして,腹部超音波検査と血液検査を,セカンドステップとしてMDCTによるダイナミックCT検査を,サードステップとして,超音波内視鏡(EUS),MRI(MRCPを含む),ERCPを推奨している。
□血液検査:胆嚢癌により胆道閉塞が生じている場合に,総ビリルビン,直接ビリルビン高値,ALP,γ-GTP高値など,閉塞性肝機能障害のパターンを呈するが,胆嚢癌に特異的なものではない。また,腫瘍マーカーとしてCEA,CA19-9はしばしば高値を呈するが特異的ではなく,早期診断は困難である。
□腹部超音波:胆嚢内腫瘍として50%以上が描出されるが,しばしば胆嚢腺筋症や良性腫瘍,黄色肉芽腫性胆嚢などとの鑑別が難しい場合がある。
□CT検査:胆嚢癌の局在診断や進展度診断に有用である。また同時に,肝転移の有無,門脈・肝動脈浸潤の有無,リンパ節転移の有無,腹膜播種の有無など,手術適応に関する情報が得られることから,必ず行うべきである。
□MRI:特にMRCP検査は,胆嚢・胆嚢管・総胆管など胆道系解剖学的所見が低侵襲で得られる。
□EUS:手術が予定された場合には行うことが望ましい。後述するように,胆嚢癌は壁深達度により手術術式が大きく変わることから,壁深達度診断に優れたEUSを行い,治療方針を決定することが多い。閉塞性黄疸がみられる場合は診断と治療を兼ねてERCPを施行し,胆道造影により胆管浸潤の有無,胆嚢管浸潤の有無を診断するとともに,逆行性胆道ドレナージ(EBD)あるいは逆行性経鼻胆道ドレナージ(ENBD)を挿入し,黄疸の軽減を図ることができる。
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