□ループス腎炎は,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)で認められる腎病変で,一次性腎炎で認められる5つの臨床症候群(ネフローゼ症候群,急性腎炎症候群,急速進行性腎炎症候群,慢性腎炎症候群,無症候性蛋白尿・血尿症候群)のすべてを呈しうる。
□腎組織所見は,表に示すように6つの病型(Ⅰ~Ⅵ型)に分類される。
□ループス腎炎の特徴は,これらの臨床症候群や組織病型の間での移行,また時にいくつかを同時に認めることである。たとえば,ネフローゼ症候群と急速進行性腎炎症候群を同時に認め,腎生検でⅤ型(膜型)+Ⅳ型(膜性増殖型)を示した症例が免疫抑制療法により慢性腎炎症候群となり,組織学的にはⅤ型に移行する場合である。
□ループス腎炎によるネフローゼ症候群の特徴は,多くの場合に腎症以外にSLEとしての多臓器病変による症状を認めることである。体表的な腎外病変として,顔面紅斑,光線過敏症などの皮膚症状,胸膜炎,心膜炎,腹膜炎などの漿膜炎症状,情緒不安定などの中枢神経症状がある。
□主な検査所見:ループス腎炎の活動性亢進を反映して,血液検査では白血球減少(特にリンパ球減少),血小板減少症,低補体血症(CH50,C3,C4),抗核抗体高値(特に抗2本鎖DNA抗体)がある。なお,一次性ネフローゼ症候群と異なり,高コレステロール血症を示すことは少ない。
□尿検査:多量の蛋白尿に加え,尿沈渣で軽度の顕微鏡的血尿からtelescoped sedimentと呼ばれる多数の赤血球,白血球などの各種細胞成分,赤血球円柱,顆粒円柱,白血球円柱など円柱の混在を認める尿所見まで多様である。
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより