バイエル薬品は2月14日、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)治療薬「ケレンディア」(一般名:フィネレノン)について、慢性心不全の適応追加を承認申請したと発表した。
ケレンディアは1日1回経口投与の非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬。MRの過剰活性化を抑えることで心血管・腎障害の発症や進展を抑制する。特にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)に追加することで、アルドステロンまたはアルドステロン非依存的な機序によるMRの過剰活性化を抑制し、心血管・腎イベントの発症リスクを低減させることが期待されている。
今回の適応追加承認申請は、日本人を含む左室駆出率が40%以上の心不全患者約6000人を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(FINEARTS-HF)のデータに基づき行われた。試験において同剤は、主要評価項目である心血管死およびすべての心不全イベント(心不全による入院または緊急受診)のリスクを16%減少させたという。
国内では2022年3月に2型糖尿病を合併するCKD(末期腎不全または透析施行中の場合を除く)を適応症として承認され、同年6月より同社が販売を開始した。慢性心不全の適応追加は米国、中国、欧州でも承認申請を行っている。
「ケレンディア」の効能・効果/用法・用量
【効能・効果】2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)
【用法・用量】通常、成人には1日1回経口投与。eGFRが60mL/min/1.73㎡以上の場合は20mg、60mL/min/1.73㎡未満の場合は10mgから投与開始