□一過性の四肢筋力低下(弛緩性麻痺)を示す。発作時の血清カリウム濃度変化により低カリウム性と高カリウム性とにわけられる。
□原因として遺伝性(家族性)と二次性とがあるが,日常経験されるのは二次性の低カリウム性周期性四肢麻痺であり,甲状腺機能亢進症に伴うものがほとんどである。
□発作性の四肢体幹の筋力低下が主症状である。腱反射は低下する。呼吸筋は侵されず,嚥下・構音障害も比較的出現しにくい。
□低カリウム性のほうが,症状が強く持続時間も長い。
□遺伝性の低カリウム性と高カリウム性では,初発年齢,誘発因子などが異なる(表1)。
□遺伝性高カリウム性周期性四肢麻痺では繰り返し運動や寒冷曝露で増悪するミオトニー(患者はこわばりと表現することが多い)を眼瞼などに認める。
□発作間欠期にはまったく異常を認めないことが多いが,遺伝性低カリウム性の1/4は慢性筋力低下を示す。通常,中年期以降,発作回数は減少する。
□血清カリウム濃度:低カリウム性では3.0mEq/L以下,高カリウム性では7mEq/L以上であることが多い。ただし,麻痺発作からの回復期では,既に正常であったり,逆に変化していることがあることに注意(治療上の一般的注意参照)。
□心電図:カリウム異常による不整脈は突然死につながる。T波のチェックがカリウム濃度のモニタとしても重要である。発作時にはモニタ装着し,致死性不整脈に注意する。後述のAndersen(-Tawil)症候群では発作間欠期にもQT(U)延長が認められ,診断に有用である。
□その他:甲状腺機能,アルドステロン,尿電解質排泄量など二次性の原因(表2)の検索を行う。
□神経生理学的検査:遺伝性高カリウム性周期性四肢麻痺ではミオトニー放電を針筋電図で認めることがあり,診断に有用。やや専門的となるが,long exercise testが麻痺発作の再現に,short exercise testが原因遺伝子の推測に役立つとされている1)。
□遺伝子解析:保険適用はないが,わが国でもいくつかの研究機関で可能である。
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