□片側の一過性の電撃様あるいは穿刺様の顔面痛を繰り返す疾患である。
□典型的三叉神経痛と有痛性三叉神経ニューロパチーに分類できる。典型的三叉神経痛の「国際頭痛分類 第3版 beta版」(ICHD-3β)による診断基準を表11)に示す。
□有痛性三叉神経ニューロパチーは神経系の疾患や神経損傷によって生じる三叉神経枝の支配領域に生じる頭部あるいは顔面痛である。
□典型的三叉神経痛は特発性,あるいは血管による三叉神経の圧迫が原因とされ,後者が大半を占める。三叉神経の橋への入口部(root entry zone:REZ)近傍での圧迫が多い。
□有痛性三叉神経ニューロパチーの原因としては腫瘍(類上皮腫,三叉神経鞘腫,髄膜腫など),多発性硬化症,帯状疱疹などがある2)。
□年間発症数は10万人当たり男性2.5人,女性5.7人である。50歳代での発症が多く,有病率は年齢とともに増加する3)。
□通常片側性,数分の1秒~2分程度の激しい疼痛が三叉神経領域(図)4)に繰り返し生じる。
□疼痛の性状は「電気が走るような」「突き刺すような」などと表現される。
□三叉神経第2枝・第3枝領域に好発し,2枝領域以上に及ぶこともあるが,三叉神経領域を超えて広がることはない。
□頻度は1日に数回~数百回であり,数日から数カ月間繰り返す。5年以内に約65%で再発する1)。
□食事,会話,洗顔,歯磨き,顔面の特定部位(トリガーポイント)への非侵害刺激によって誘発される。疼痛発作後,通常は一過性に痛みが誘発されない不応期を認める。
□発作と発作の間はほとんどの場合は無症状であるが,中等度の持続性顔面痛を伴うこともある。
□流涙,眼球発赤などの軽度の自律神経症状を伴うこともある。
□有痛性三叉神経ニューロパチーの疼痛の性状や重症度は原因によって様々である。
□頭部MRIで腫瘍,多発性硬化症などの器質的疾患がないか確認する。
□constructive interference in steady state(CISS)法およびMR angiography(MRA)の再構成前の元画像によって三叉神経と血管(上小脳動脈,前下小脳動脈など)の位置関係を評価することができる。
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