□アシネトバクターは院内感染では重要な原因菌である。そのため,施設内で他患者でも検出されていないかチェックすることは感染制御上重要である。
□アシネトバクター属の中でヒトに病原性を示す菌種としては,Acinetobacter baumanniiが代表的である。近年,A. pittiiやA. nosocomialisが院内感染症や医療関連感染症の原因菌として増加している1)。
□多剤耐性アシネトバクター(multiple drug-resistant Acinetobacter :MDRA)の日本での定義は,最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)の場合,イミペネム≧16μg/mLかつアミカシン≧32μg/mLかつシプロフロキサシン≧4μg/mLである2)。
□MDRAによる感染症は,5類感染症である2)。
□本菌による特異的な症状はない。一般的に本菌による感染症を発症する場合,何かしらの感染防御能が低下した状態であることが多い。
□アシネトバクター属による感染症としては呼吸器感染症が最も多く,特に人工呼吸器関連肺炎の起炎菌として重要である。ほかに敗血症や髄膜炎,尿路感染症,腹腔内感染症や創部感染症も起こす。
□熱帯や亜熱帯地域では,市中肺炎の起炎菌としても知られている。
□生化学的性状を基に同定する日常検査では,A. baumanniiとA. pittii,A. nosocomialisの鑑別は困難である3)。
□MICでは,イミペネム≧16μg/mLかつアミカシン≧32μg/mLかつシプロフロキサシン≧4μg/mLである2)。
□ディスク法では,イミペネムの阻止円の直径が13mm以下かつアミカシンが14mm以下かつシプロフロキサシンが15mm以下である2)。
□欧米では,アシネトバクター属が同系統の抗菌薬クラス内で1つ以上の抗菌薬で非感性を示し,それが3つのクラスにわたって存在する場合と定義されており,わが国と異なっている4)。
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