□多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa:MDRP)の学術的な定義はいまだなされていない。
□日本の感染症法においては,アミノグリコシド,カルバペネム,フルオロキノロンの3系統の抗菌薬に耐性を示す緑膿菌がMDRPとされ,薬剤耐性緑膿菌感染症として5類感染症に分類されている。以下,本項において述べるMDRPはこの基準を満たすものとする。
□なお,現在世界的に多剤耐性菌における用語の基準を統一しようという動きが出てきている。多剤耐性菌をmultidrug-resistant(MDR),extensively drug-resistant(XDR), pandrug-resistant(PDR)にわけることが提唱されている。
□MDRP感染症に特異的な症状はない。発熱をはじめとした,通常の感染症と同様の症状が出現する。
□主に高度免疫不全患者において,感染症の原因となることがある。
□好中球減少症や皮膚・粘膜バリアの障害,慢性呼吸器疾患(嚢胞性線維症,びまん性汎細気管支炎,気管支拡張症など)といった免疫不全を背景に持つ患者においては特に注意を要する。
□感染臓器を明らかにすることが重要である。呼吸器感染症であれば喀痰培養,尿路感染症であれば尿培養,髄膜炎であれば髄液培養といった各部位の培養に加え,必ず血液培養2セットを抗菌薬投与前に採取する。
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