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ヘイリー・ヘイリー病(家族性良性慢性天疱瘡)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
齋藤奈央 (旭川医科大学皮膚科学講座)
山本明美 (旭川医科大学皮膚科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    ヘイリー・ヘイリー(Hailey-Hailey)病(家族性良性慢性天疱瘡)は,カルシウムポンプ異常による疾患である。

    腋下などの間擦部を中心に紅斑,びらんが出現し,膿痂疹様の病変を認める。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    腋下,鼠径,外陰部などの間擦部を中心に紅斑上に小水疱が生じ,びらん,痂皮,色素沈着を伴い,一見膿痂疹様を呈す。

    高温,多湿,摩擦,細菌感染,真菌感染で増悪し,夏季に増悪することが多く,増悪と寛解を繰り返す。

    爪甲に白色線状を認めることがあり,診断の一助となる。

    細胞内のカルシウムポンプの遺伝子であるATP2C1の変異が原因となる1)

    常染色体優性遺伝であるが,30~40歳に発症し孤発例も散見される。

    【検査所見】

    病理組織所見では,デスモソーム形成不全により基底層直上から棘融解を認める。

    棘融解細胞は,壊れたレンガの壁を想起させる所見を呈する。

    水疱底部では一層の基底細胞に覆われた真皮乳頭が突出し絨毛と呼ばれ,稀に異常角化細胞を認める。

    直接蛍光抗体法では免疫グロブリンの沈着を認めず,ELISA法で自己抗体は認められない。

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