ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(staphylococcal scalded skin syndrome:SSSS)は黄色ブドウ球菌による感染症のひとつであり,菌由来の表皮剝脱毒素が血流を介して全身の皮膚に運ばれ,全身の紅斑・表皮剝離を起こす疾患である。0~5歳ぐらいの乳幼児にみられることが多い。症状として,初期には口囲や眼囲の潮紅や水疱,口囲の放射状の亀裂・びらん,眼脂などがみられる特有の顔貌を呈し,その後,頸部,腋窩,鼠径などの間擦部位に潮紅がみられ,全身に熱傷様の表皮剝離やびらんが認められるようになる。また,38℃前後の発熱,食欲不振,不機嫌などの全身症状も呈するようになる。一見正常な皮膚に見える部位においても,軽度の擦過による表皮剝離がみられるニコルスキー現象が陽性となることも特徴のひとつである。治療が奏効すれば次第に潮紅が消退し,1週間程度で粃糠様落屑や手足の膜様の鱗屑がみられるようになり,2~3週間程度で軽快する。
乳幼児に発熱などの全身症状を伴い,擦過部を中心とする全身の紅斑・水疱・びらんと特有の顔貌がみられ,鼻腔,咽頭,眼脂などから黄色ブドウ球菌が検出される。
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