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老人性色素斑・肝斑[私の治療]

No.5278 (2025年06月21日発行) P.46

村上富美子 (聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院皮膚科部長)

登録日: 2025-06-22

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  • 老人性色素斑はシミとして日常よくみられる皮膚科疾患である。中年以降の顔面,手背,前腕伸側,下腿など露光部に発症する。比較的境界明瞭な大小様々な褐色色素斑で,時に大型のものは一部が隆起し,老人性疣贅に移行することもある。原因としては,紫外線曝露によるメラニンの過剰生成や,加齢によるケラチノサイトのターンオーバーの遅れによるメラニンの排出遅れが考えられている。
    肝斑は女性に多くみられ,顔面,特に前額,側額,頬部にかけて左右対称性に生じる色素斑である。口周囲にもみられることがある。妊娠,経口避妊薬,抗てんかん薬,卵巣機能異常などが原因で生じる。女性ホルモンによる色素細胞の活性化の影響が考えられている。また,紫外線は強力な増悪因子である。

    ▶診断のポイント

    老人性色素斑は,臨床所見で比較的容易に診断できる。顔面に発症するものでは悪性黒子との鑑別が必要なものもあり,ダーモスコピーによる診断や生検による組織診断を行う。

    肝斑は顔面,特に前額,側額,頬部にかけて左右対称性に生じる。比較的境界明瞭な淡褐色斑で様々な形や大きさをとる。紫外線の影響を受けるため,夏に増悪し,冬に軽減する。肝斑と発症部位が重なる後天性対称性真皮メラノサイトーシスとは治療方法が異なるので鑑別が必要である。生検による組織診断で真皮メラノサイトの有無を確認する。

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