□男性型脱毛症(androgenic alopecia)は,思春期以後の男性に若年から発症する前頭部や頭頂部に優位の特徴的なパターン(額の生え際の後退,頭頂部の脱毛)をもって生じる薄毛のことである1)。遺伝的素因を背景とし,中年の男性の約3割に生じるとされ,広く一般に認識された脱毛症である。
□罹患部位の毛髪が細く短くなる(ミニチュア化)本症の病態には,男性ホルモンが深く関わる。その代表であるテストステロンを活性型のジヒドロテストステロンに変換する5α還元酵素阻害薬2)3)が内服薬として治療に用いられる。
□"壮年性脱毛症"などと言われることからもわかるように,若年から発症する前頭部・頭頂部に特定のパターンを有する脱毛である。
□その本態は男性ホルモンの影響による罹患部位での毛周期(毛の生えかわり)の短縮に起因する。十分な長さの成長期を経ずに毛周期を繰り返す毛包はミニチュア化し,休止期毛が増加する。これにより毛髪の本数,ボリュームが低下し薄毛となる。自覚症状として外観の変化に加えて抜け毛の増加などがある。
□ダーモスコピーにて毛幹の細径化,毛周期の加速化を示唆する徴候の存在(径が細くなった毛幹数の増加,毛幹径の不均一性)。
□前頭部,頭頂部の毛髪(毛幹)の軟毛の易脱毛性(牽引した際に抜けやすさを認める)。
□臨床採血検査にて本疾患と相関する異常(テストステロン値)はほぼ認められない。
□遺伝子検査(アンドロゲンレセプター遺伝子のCAG,GGCリピート数による感受性検査)なども商業化されてはいるが4),基本的に診断は臨床像による。
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより