□肝斑とは顔面に生じる後天性の色素沈着症である1)。
□30~40歳代の女性に生じることが多い。アジア系,ヒスパニック系,アフリカ系に多い。特に頬部に対称性に生じる。男性には少ない。
□卵胞ホルモンや黄体ホルモンによる表皮内メラノサイトのメラニン合成能の活性化と,皮膚の光老化が原因と推察される。
□発症および増悪因子として,日光曝露,妊娠,経口避妊薬(ピル),抗てんかん薬,卵巣機能異常,月経困難症,精神的ストレス,遺伝的素因がある。発症・増悪因子は単一ではない。しばしば治療に難渋する。
□顔面,特に,頬骨部,前額部,側額部,口囲に生じる色素斑である。眼囲を避ける傾向にある。
□左右対称性で,境界が明瞭な淡褐色斑である。淡褐色斑は様々な形状,大きさをとりうる。
□そう痒感のような自覚症状や炎症症状はない。
□日光曝露で増悪することを反映して,夏季に症状が増悪し,冬季に軽減する。
□臨床症状から診断をつけることが多い。以下の検査を行うこともある。
□Wood灯照射を行うと,病変部がよりはっきり見える。
□病理組織では表皮ケラチノサイトのメラニン顆粒の異常蓄積がみられる。メラノサイトの増数,表皮の肥厚は通常ない。真皮の弾性線維の変性がみられ,メラノファージがみられることもある。
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