株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

癜風[私の治療]

No.5269 (2025年04月19日発行) P.53

石崎純子 (東京女子医科大学附属足立医療センター皮膚科准教授)

登録日: 2025-04-20

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 癜風(pityriasis versicolor)は,皮膚の常在菌の好脂性真菌であるマラセチアが菌糸型で増殖して生じる表在性皮膚真菌症である。主たる原因菌種はMalassezia globosaとされる。皮脂分泌が盛んな20~30歳代の体幹の脂漏部位に好発し,多汗となる夏季に多い。

    ▶診断のポイント

    頸部,胸腹部,背部などの衣服に覆われた脂漏部位に生じる。皮疹は大小混在,あるいは融合する色素斑(黒色癜風)ないし脱色素斑(白色癜風)で,時に淡紅色調を呈する。毛孔性に始まり拡大融合し,大型の局面をなす。かゆみなどの自覚症状は少ない。表面は平滑で一見鱗屑は目立たないが,先の鈍いメスで擦る,あるいはエーテルやエタノールなどで病変部位を脱脂すると,細かい粃糠様鱗屑が浮かび上がる(カンナ屑現象)。

    診断は,採取した鱗屑のKOH直接鏡検により菌糸と塊状の胞子を証明することによる。パーカーインク(旧バージョンのブルーブラック,現バージョンのブラック)やクロラゾールブラック,シカゴスカイブルーを添加したKOH液,ズームブルー,酸性メチレンブルーなどにより鮮明に観察できる。

    鑑別疾患としては,褐色斑を生じるカフェオレ斑,扁平母斑,炎症性色素沈着,脱色素斑を生じる尋常性白斑などが挙げられる。また,かゆみを伴う場合は,湿疹として前医でステロイド外用を処方されていることも少なくない。

    残り856文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top