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酒皶の新常識:アレルギー疾患の併発は稀ではない[〈プライマリ・ケア医が知っておくべき〉クイズで学ぶ 皮膚科診療の“新常識”(8)]

No.5266 (2025年03月29日発行) P.6

山﨑研志 (ALOOP CLINIC & LAB院長)

登録日: 2025-03-27

最終更新日: 2025-03-25

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Q


40歳代,女性。小学生低学年で寛解したアトピー性皮膚炎の既往あり。数年前から顔の赤みや火照りが気になっていた(図1)。体幹や四肢には皮疹がない。スギの花粉症あり。
本患者について,診察,検査,治療ですべきことは以下のうちどれか(複数選択あり)。

症状悪化の環境・背景確認
特異的IgE検査
自己抗体検査(抗核抗体など)
ステロイド外用
メトロニダゾールゲル外用
抗ヒスタミン薬内服
ドキシサイクリン内服

酒皶の疾患概要

酒皶は20歳代以降に好発し,顔面中央部の前額・眉間部,鼻部,頰部(中央寄り),頤部に,紅斑・潮紅や毛細血管拡張による赤ら顔,痤瘡に類似した紅色丘疹や膿疱をきたす疾患である。

酒皶の病理組織学的病変の主体は脂腺性毛包周囲の真皮内にあり,脂腺性毛包を取り囲む炎症と毛細血管拡張をきたす。コーカソイドを祖先に持つ集団でのGWAS調査では,酒皶発症の遺伝的背景として,IL-4/IL-13のタイプ2炎症やメラニン色素合成関連シグナルの関連が示唆される1)。後天的要因として,環境因子からの自然免疫機構・抗菌ペプチドの過活性化2)3)や肥満細胞の関与する皮膚炎症の遷延化4),末梢神経応答等による知覚過敏や血管拡張反応などが病態形成に関与することが示されている。医原性に酒皶が悪化することがあり,ステロイド外用薬は代表的な酒皶の医原性誘発因子・増悪因子である。

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