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足根管症候群

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-21
熊井 司 (奈良県立医科大学スポーツ医学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    脛骨内果後下方にみられる屈筋支帯による足根管内(図1)での脛骨神経またはその分枝(内・外側足底神経,内側踵骨枝)の圧迫により生じる絞扼性神経障害である。

    15_43_足根管症候群

    足関節内側から足底・足趾にかけてのしびれ感,疼痛を主訴とし,足根管部での圧痛やTinel徴候が特徴的である。

    占拠病変など病因が明確なものが80%,不明確な特発性が20%を占める。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    足根管部から足底・内側にかけての感覚障害やしびれ感,疼痛を訴える。

    足根管部の圧痛とそれに伴う足底への放散痛がみられる。時に近位(下腿内側)への放散痛がみられることもある。

    感覚障害は障害されている神経の支配領域に一致する(図2)。

    疼痛の表現は,灼熱感,針で刺すような痛み,ヒリヒリ感,何とも言えない違和感など多種多様である。

    疼痛の出現時期についても,歩行時,運動時,入浴時,夜間就寝時など様々である。

    占拠病変によるものでは,足根管部に腫瘤を触知することがある。

    外側足底神経第1枝の絞扼により小趾外転筋が障害されることがある。

    外傷によるものでは,距骨後突起骨折や踵骨骨折による骨片の転位により障害されることがある。

    外反扁平足による回内変形や後足部不安定性によって神経が伸張され,障害が発生することがある。

    【検査所見】

    臨床症状に加え,足根管の圧痛とTinel徴候が有用である。

    足関節を最大背屈,足部を外がえしさせた状態で足趾を最大背屈させると疼痛が誘発されることがある(dorsiflexion eversionテスト)。

    単純X線撮影では,足根骨癒合症(距踵骨癒合症)や外傷による変形が認められることがある。

    占拠病変の検索には,CTやMRI,超音波が有用であり,治療方針を考える上でも役に立つ。占拠病変としては,ガングリオンや足根骨癒合症が多くみられるが,そのほかにも肥大した破格筋,軟部腫瘍,関節リウマチなどによる腱鞘滑膜炎,静脈瘤が考えられる。

    電気生理学的検査では感覚神経伝導速度の遅延がみられることも多いが,あくまでも補助診断として考慮すべきである。

    局所麻酔薬によるブロックテストも有用であるが,頻回の注射は神経や周囲組織に傷害を与えるため控える。

    鑑別診断として,腰部の脊椎疾患(神経根症状)や糖尿病性神経障害による足部症状を念頭に置く。

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