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交通事故にあって首が痛い……[頸椎捻挫・外傷性頸部症候群][骨折ファーストタッチ ─decision makingのための骨折の考え方─(39)]

No.5246 (2024年11月09日発行) P.34

海透優太 (JCHO若狭高浜病院整形外科医長/臨床研修センター長)

登録日: 2024-11-12

最終更新日: 2024-11-06

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鑑別診断

▶日本で発生する交通事故の負傷部位の半数は頸部であり,事故後の頸部痛は日常診療でよく遭遇する主訴です。頸部がむちのようにしなって受傷することから“むち打ち損傷”という呼称も広く知られていますが,医学用語では「頸椎捻挫」「外傷性頸部症候群」と診断するのが一般的です。

▶診断において最も重要なことは,脊髄損傷頸椎骨折脱臼を除外することです。高齢者では頸部の脊柱管が狭くなっており,頸部を後屈するような軽微な外傷で脊髄損傷を起こすことがあります。上肢の運動障害や感覚障害(アロディニア:触れるだけでビリビリした感覚が誘発される)を認めた場合には,頸髄の脊髄損傷(中心性脊髄損傷を含む)を疑いましょう。

▶また,痛みにより頸部の可動域制限がある場合には,頸椎骨折や脱臼の精査を行うことを推奨します。左右の側屈が45°以下や回旋運動困難であれば,X線検査を施行しましょう(ただし,交通事故による受傷の客観的記録を残すことは重要であり,頸椎骨折や脱臼を疑っていなくてもX線検査を行うことも検討しましょう)。

鑑別疾患:「交通事故にあって首が痛い」⇒頸椎捻挫・外傷性頸部症候群,脊髄損傷,頸椎骨折,脱臼

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公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

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