□細菌(黄色ブドウ球菌,肺炎球菌,インフルエンザ菌)によって,結膜充血と膿性眼脂などの急性結膜炎が引き起こされる。
□淋菌やクラミジアは,性行為感染症として結膜炎を引き起こす。
□結膜充血や膿性眼脂を認める。
□結膜濾胞や耳前リンパ節腫脹は認めない。
□黄色ブドウ球菌による結膜炎は片眼性が多く,眼瞼炎を合併する場合がある。黄色ブドウ球菌による結膜炎はアトピー性皮膚炎に合併することがある。
□肺炎球菌,インフルエンザ菌による結膜炎は両眼性が多く,上気道炎に併発して起こる場合がある。
□フルオロキノロン系抗菌薬点眼中に発症した場合は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やフルオロキノロン耐性コリネバクテリウムによる結膜炎の場合がある。
□淋菌性結膜炎では,眼瞼腫脹,著明な結膜充血,クリーム状眼脂を認める。重篤化した場合は角膜穿孔をきたす場合がある。
□クラミジア結膜炎は,粘液膿性眼脂を伴い,結膜円蓋部に癒合し混濁した巨大濾胞を認める。片眼性が多い。発症初期ではアデノウイルス結膜炎との鑑別が困難である。
□尿道炎,上咽頭感染など他の部位の感染を合併することがある。
□淋菌やクラミジアは産道感染によって新生児に結膜炎を引き起こす。淋菌では,生後2~4日後の新生児に多量の膿性眼脂,結膜充血,眼瞼腫脹を引き起こす。クラミジアでは急性結膜炎症状に加えて偽膜を高率に認めるが,結膜の濾胞形成はない。
□細菌性結膜炎および淋菌性結膜炎:眼脂の塗抹標本検査で多数の細菌像を認める。グラム陽性球菌では黄色ブドウ球菌,肺炎球菌,グラム陰性短桿菌ではインフルエンザ菌,グラム陰性双球菌では淋菌,グラム陽性桿菌ではコリネバクテリウムによる結膜炎を疑う。
□細菌性結膜炎:眼脂の培養検査にて多量の菌が検出される。臨床所見より淋菌性結膜炎を疑った場合は,チョコレート寒天培地,Thayer─Martin培地を使用して,5~10%の炭酸ガス環境下で培養を行う。淋菌は輸送・保管中に死滅しやすいため注意が必要である。
□クラミジア結膜炎:結膜擦過物のギムザ染色による塗抹標本検査で結膜上皮細胞の細胞質内封入体が観察される。PCR(polymerase chain reaction)法やTMA(transcription mediated amplification)法による核酸増幅検査や蛍光抗体法などの抗原検出検査によって,クラミジアを検出する。
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