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虚血性視神経症[私の治療]

No.5258 (2025年02月01日発行) P.46

渡辺敏樹 (ワタナベ眼科院長,杏林大学アイセンター)

登録日: 2025-02-03

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  • 虚血性視神経症は視神経の血流障害によって生じ,急激な視力障害を認める。障害部位別にみると,乳頭部に生じる前部虚血性視神経症と,乳頭部に異常のない後部虚血性視神経症に分類される。また,原因別にみると動脈炎性と非動脈炎性にわけられる。動脈炎性虚血性視神経症の原因は巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)1)が多いが,抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)が関与するANCA関連血管炎などでもみられる。一方,非動脈炎性虚血性視神経症は高血圧,糖尿病,動脈硬化,小乳頭,ED治療薬,アミオダロンなどの薬剤,睡眠時無呼吸症候群などが原因となる。わが国では非動脈炎性が90%以上で,動脈炎性は数%程度と稀であるが,動脈炎性は両眼の高度視機能障害を残す可能性がある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    動脈炎性・非動脈炎性ともに急激な視力低下を呈し,視野異常は水平半盲が多いが,動脈炎性のほうが強い視機能障害を呈する。非動脈炎性は発症後,ほとんどが非進行性で症状に変化はないが,動脈炎性(巨細胞性動脈炎)は発症後も進行がみられ,無治療では数日〜数週間で他眼も発症し高度視機能障害を残す。巨細胞性動脈炎では頭痛,発熱,多関節痛,体重減少,発汗過多などの全身症状を認める。局所症状としては側頭動脈の蛇行・腫脹・圧痛・拍動低下や,顎跛行などがみられる。眼所見としては複視(眼窩筋炎など),一過性視覚障害,網膜動脈閉塞症などを生じることがある1)

    【検査】

    血液検査:動脈炎性ではCRP,赤沈が上昇する。ANCA関連血管炎ではPR3-ANCA,MPO-ANCAが高値を呈する。視神経脊髄炎関連疾患では急激な視力低下や水平半盲を呈することがあり,抗アクアポリン4抗体の有無を確認する。

    側頭動脈生検1):巨細胞性動脈炎では多核巨細胞を伴う肉芽腫性動脈炎を呈し,確定診断に有用である。

    画像検査:巨細胞性動脈炎は,側頭動脈エコーにてリング状の低エコー帯が血管内腔を囲むハローサインを認める。エコーは生検ができない場合に代用される2)

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