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円錐角膜[私の治療]

No.5275 (2025年05月31日発行) P.47

高 静花 (大阪大学大学院医学系研究科視覚先端医学寄附講座准教授)

登録日: 2025-06-01

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  • 円錐角膜(keratoconus)は,進行性の角膜形状異常疾患である。角膜形状異常のために眼鏡では矯正できない角膜不正乱視を生じ,視力が低下する。思春期に発症しやすく,通常両眼性であるが重症度に左右差があることも多い。従来,その頻度は0.05%と言われていたが,実際にはさらに高い。遺伝的素因と環境的素因が発症や進行に関与する。リスクファクターとして,目をこする癖,アレルギー性結膜炎,アトピー性皮膚炎,家族歴,若年,妊娠・出産期の女性が知られている。

    ▶診断のポイント

    細隙灯顕微鏡で,角膜菲薄化および角膜の前方突出,Fleischer ringおよびVogt striaeが認められれば診断は容易である。しかし,初期の円錐角膜で細隙灯顕微鏡での異常所見が認められない場合は単なる乱視と診断されることもよくあり,確定診断には角膜形状解析が必要である。角膜形状解析では,角膜中央から下方にかけての局所的急峻化,角膜菲薄化,角膜頂点の偏心がみられる。特に,極早期例では角膜形状解析でも検出されないことがあるため,そのほかに複数の検査が必要となる。学童,学生の場合は学校健診などで指摘されて精査,あるいは眼鏡やコンタクトレンズ処方希望での受診で偶然見つかることが多い。

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