【質問者】
岩崎明美 大多喜眼科
【低濃度アトロピン点眼,オルソケラトロジー(オルソK),それらの併用療法が選択肢となる】
近視進行抑制治療は発展の著しい分野であり,世界では治療法の選択肢が増加しています。わが国ではすべて未承認治療になりますが,選択可能な治療法としては低濃度アトロピン点眼,オルソケラトロジー(orthokeratology:オルソK),多焦点ソフトコンタクトレンズ(multifocal soft contact lenses:MF SCL)などが挙げられます。その中で,小学校低学年でも可能な治療法は低濃度アトロピン点眼とオルソKです。MF SCLは日中の装用となるため,本人が装脱を自分でできる年齢が対象となりますので,小学校高学年以降の使用が多いです。
低濃度アトロピン点眼は,世界中で適正濃度の研究が行われており,4~12歳の近視小児438人を対象として,0.01%,0.025%,0.05%の濃度のランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)を行った香港の近視進行(Low-concentration Atropine for Myopia Progression:LAMP)研究では,濃度依存的に近視進行が抑制されること,低濃度アトロピン点眼の治療抵抗性は低年齢と関連することを報告しています1)2)。そのため,単独療法であれば有効性の観点から,進行速度の速い低年齢には高濃度が望ましいですが,副作用として,瞳孔拡大作用による羞明や近見障害が濃度依存性に出現することから,副作用に耐えうる高濃度(0.025%または0.05%)を選択します。
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