□涙嚢炎は,涙道通過障害により細菌感染を起こした炎症性疾患であり,通常は片側性であるが時に両側性に認める。
□涙道通過障害の原因は先天性と後天性があり,涙嚢炎の病態としては急性型と慢性型にわけられる。
□先天鼻涙管閉塞:生下時直後から流涙と眼脂を認める。
□慢性涙嚢炎:持続する流涙と眼脂を認め,難治性の慢性結膜炎を合併することが多い。
□急性涙嚢炎:涙嚢部に急速に出現する発赤,腫脹を認め,疼痛を伴う。涙道周囲への炎症の波及による蜂巣炎を合併することが多い。
□涙嚢部圧迫により貯留物の逆流がある。
□色素残留試験は陽性である。
□涙管通水検査にて分泌物の逆流を認め,通常は通水不可である。
□涙嚢が腫脹している場合は,涙嚢部圧迫による貯留物の逆流がある。
□細隙灯顕微鏡検査:涙液メニスカスが高く,涙液に分泌物を認める。
□涙管通水検査:通水がなく,膿の逆流を認める。
□涙道内視鏡検査:涙嚢が拡張し,閉塞部位はピンホール状に認められることが多い。
□涙道造影検査(X線,CT):涙嚢の拡張と鼻涙管の閉塞,鼻腔への造影剤流出なし。
□問診:慢性涙嚢炎が急性増悪した状態が多く,慢性涙嚢炎の既往を確認する。
□視診:視診にて涙道部の発赤と腫脹を認める。経過が長い場合には自壊して排膿を認めることもある(図)。
□眼瞼~涙嚢部の急性炎症である麦粒腫,化膿性霰粒腫や粉瘤などとの鑑別が重要であり,消炎後に慢性涙嚢炎に準じた検査を行う。
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