□虹彩炎は前部ぶどう膜炎と同義で,前眼部(虹彩・毛様体)に生じる炎症である。ベーチェット病,フォークト(Vogt)─小柳─原田病,サルコイドーシス,強直性脊椎炎などの膠原病や自己免疫疾患に伴うぶどう膜炎,ヘルペス性虹彩炎,結核,梅毒,細菌性や真菌性眼内炎などの感染性ぶどう膜炎,あるいは原因不明のぶどう膜炎で生じる。
□自覚症状は霧視,羞明,眼痛,充血,視力低下などであるが,軽度の虹彩炎では自覚症状がない場合がある。
□虹彩炎の原因診断と全身炎症所見の有無を検査する場合に行う。末梢血液像,赤沈,CRP,胸部X線,ツベルクリン皮内反応,血清抗体測定(梅毒,トキソプラズマなど),血清アンジオテンシン変換酵素などが通常行われる。
□臨床上は眼科的検査が最も重要である。矯正視力,眼圧測定は初診のみならず受診ごとに必要である。
□肉眼的検査:角膜周囲の毛様充血の有無,細隙灯顕微鏡検査で角膜後面沈着物の有無と性状,前房の細胞とフレアの有無と程度,虹彩の萎縮や結節の有無,虹彩後癒着の有無,前部硝子体の細胞とフレアの有無を診断する。
□隅角鏡:隅角結節と周辺虹彩前癒着の有無を検査する。
□ヘルペス性虹彩炎など感染性ぶどう膜炎が疑われる場合には,前房穿刺により採取した前房水採取(100μL)のPCR検査による病原菌のDNA検査が診断に有用である。
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