□現在,わが国における失明原因の第2位である。
□糖尿病によって生じる網膜細小血管障害を原因として発症する疾患であり,病期進行とともに多彩な臨床所見を呈する。
□網膜症が進展して硝子体出血や牽引性網膜剥離を発症するか,あるいは黄斑浮腫を生じなければ原則的には自覚症状をきたさない。
□自覚症状:視力低下以外に,硝子体出血では飛蚊症や霧視感,牽引性網膜剥離では視野欠損,糖尿病黄斑浮腫では変視症などが生じる。
□細隙灯顕微鏡検査:角膜症,虹彩炎,虹彩血管新生,白内障などの有無について観察する。また,眼底検査を行うために散瞳薬を使用するが,その使用前に未散瞳で隅角検査を行い,隅角新生血管の有無などを調べておくことは重要である。
□眼底検査:網膜症の病態は,網膜の細小血管構築の破壊,血流障害に伴う虚血,虚血性変化に対する生体の代償機転として,眼内血管新生が一連の変化として生じるものである。改変Davis分類はその病期進行に沿った病期分類であり,本症における前述の変化を,単純期,前増殖期,増殖期の3期に分類する(表)。
□光干渉断層計(OCT):糖尿病黄斑浮腫は単純期以降の病期すべてで生じうる病態であり,本検査では黄斑部に網膜膨化,嚢胞様変化,漿液性網膜剥離などの変化が観察される。
□フルオレセイン蛍光眼底造影検査:フルオレセインナトリウムを静脈投与して眼底造影検査を行う。前増殖期では網膜無灌流領域の形成,増殖期では線維血管組織の有無や範囲が明らかとなる。また,単純期でも網膜血管や毛細血管瘤からの透過性亢進や黄斑浮腫の有無などが明瞭に描出され,治療方針決定に役立つ。
□超音波:白内障や硝子体出血などの中間透光体の混濁によって眼底所見がとれない場合には,本検査を用いて網膜硝子体癒着の部位,線維血管組織や網膜剥離の有無や範囲などについて判定する。
□網膜電図(electroretinogram:ERG):病初期から律動様小波の減弱や消失が観察される。虚血性変化が進行すると,b波の減弱が生じる(negative type)。
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