□高血圧網膜症は,高血圧により引き起こされる眼底変化である。
□初期は自覚症状がない場合が多いが,進行すると不可逆的に視力障害を起こす重篤な例がある。
□視力障害を起こさない変化でも,高血圧網膜症の所見から全身の高血圧性変化,動脈硬化の程度や生命予後に関わる虚血性心疾患や脳血管障害などの病変を推測することが可能であるため,高血圧網膜症の評価をすることは重要である。
□健康診断で指摘されることが多いが,高度になっても自覚症状がない場合も多く,見過ごされることが多い。
□多くの場合,視力障害などの症状を示すことはない。
□進行して網膜虚血が起こると,病的新生血管が生じることがある。黄斑浮腫などを生じると視力低下をきたす。
□適切な治療が行われなかった場合,不可逆的な視力障害を残すことがある。
□高血圧性眼底変化の分類として,以前からKeith-Wagener分類(表1),Scheie分類(表2)が広く用いられている。
□眼底検査では,以下の所見がみられる。
□若年者や二次性高血圧では,急激な高血圧に伴う血管攣縮性変化が主である。
□血管中膜平滑筋の機能的収縮による網膜細動脈の狭細化,および口径不同がみられる。
□細動脈収縮が高度になれば循環不全が生じ,二次的に網膜出血,硬性白斑,軟性白斑,網膜浮腫,乳頭浮腫などが生じる。これは,血管攣縮性網膜症と呼ばれる。
□血圧の程度,病変の進行期間によって重症化することが多い。
□血柱反射亢進,交叉現象の所見は,あっても軽微である。
□眼底所見に左右差が少ない。
□血管中膜平滑筋の変性や壊死,線維性肥厚などによる細動脈内腔の器質的狭窄である。
□高血圧だけではなく,糖尿病,脂質異常症などの生活習慣病が増悪因子となるため,それらの総合的影響と考えるべきである。
□細動脈の狭細化,血柱反射亢進,交叉現象(静脈の先細り,塞ぎ止め,Salus交叉弓など)がみられる。
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