□硝子体中に混濁が生じ,それが網膜に影を映じることにより,目の前に浮遊物が見える症状を飛蚊症と呼ぶ。
□加齢に伴う生理的なものがほとんどであるが,網膜裂孔や硝子体出血,ぶどう膜炎に続発する飛蚊症があるため注意が必要である。
□視野の中に,虫のような黒い点もしくは線状のものが浮いて見えたり動いて見えたりする,という症状がある。白い壁や青空を見上げたときに自覚することが多く,眼球運動にやや遅れて動くと言われることが多い。
□60歳代では約半数に飛蚊症の自覚があり,近視が強いとより低年齢で自覚する。生理的な飛蚊症ではなく,他の疾患に続発する飛蚊症の場合は,視力低下や視野異常といった症状をあわせ持つ。
□視力検査,眼圧測定,対光反応検査,前眼部細隙灯顕微鏡検査の後,散瞳下に眼底検査を行う。注意する所見と疾患として,前眼部細隙灯顕微鏡検査で角膜後面沈着物や前房炎症細胞があった場合はぶどう膜炎,前部硝子体に色素(タバコダスト)を認めた場合は網膜裂孔,網膜剥離がある。それらの所見があった場合は,コンタクトレンズを用いた最周辺までの眼底観察が必要である。硝子体出血を認めた場合は,糖尿病や高血圧症などの合併がないかどうか,全身検索も必要となる。
□上述のような病的な飛蚊症でない場合,後部硝子体剥離に伴う生理的な飛蚊症か,硝子体の液化により生じた線維性混濁による生理的な飛蚊症の診断となる。後部硝子体剥離に伴う飛蚊症では,Weiss ringを神経乳頭近傍の硝子体腔に認める(図)。
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