□虚血性視神経症は,視神経への血液供給が不十分なために生じる。
□中高年者に多く認められ,50歳以上の10万人に対して2.3~10.2人程度の発症と言われている。
□その障害部位により,視神経乳頭に異常を認める前部虚血性視神経症(約90~96%)と,検鏡的に視神経乳頭に異常を認めない後部虚血性視神経症(約4~10%)に分類される。
□原因として,血管炎によって生じる動脈炎性虚血性視神経症(日本人では稀)と,血管炎を伴わない非動脈炎性虚血性視神経症に大きく分類される。そのほかに,稀ではあるが脊椎手術後などの周術期に生じることもある。
□動脈炎性虚血性視神経症の原因疾患は,巨細胞性動脈炎が多い。
□中年以降に多く認められる。
□通常,片眼性に突然痛みを伴わない視力低下で発症する。起床時に多く自覚される。
□視力低下が経時的に悪化していくことは少ない。
□視力障害の程度は,視野障害は伴うが視力障害は認めない軽度なものから,光覚弁になるなど高度なものまで様々であるが,動脈炎性に比べると軽度である。
□75歳以上の高齢者に多い。
□片眼性(時に両眼性)に,急激かつ著明な視力低下で発症する。
□視力低下は手動弁や光覚弁へ至ることもある。
□一過性黒内障や一過性の眼球運動障害が先行することがある。
□発熱,顎跛行,頭痛などを伴うことがある。
□relative afferent pupillary defect(RAPD)が陽性となる。
□検鏡的には,患眼に時に出血を伴うびまん性または分節状蒼白乳頭浮腫,または発赤腫脹が認められる。
□僚眼には小乳頭を認めることがあり,血管が"混雑"した状態で走行しており(crowded disc),cup to disc ratioが小さく,"disc at risk"と呼ばれる。
□視野検査:水平半盲や弓状暗点が下視野によく認められる。
□発症から数週間の後に視神経萎縮となるが,しばしば分節状に生じる。
□蛍光眼底造影検査:乳頭部および周囲の脈絡膜血管網の充盈遅延・欠損を認める。
□高血圧や糖尿病のほかに,喫煙,脂質異常症,睡眠時無呼吸症候群の合併が知られる。
□患眼への再発率は5%以下である。僚眼への発症は12~15%程度とされる。
□RAPDが陽性となる。
□非動脈炎性虚血性視神経症よりも視力障害の程度が強く,両眼性になりやすいなど重篤であることが多い。
□検鏡的に,時に出血を伴う強い蒼白乳頭浮腫を認める。
□蛍光眼底造影検査:乳頭部および周囲の脈絡膜血管網の充盈遅延・欠損を認める。
□血液検査:赤沈の亢進,CRP高値を認める。
□側頭動脈生検:血管炎像を認める。
□造影MRI:大血管の動脈壁の造影効果が認められることもある。
□検鏡的に視神経に異常所見を認めない。
□視力検査:光覚なしとなる場合から1.0まで様々である。
□視野検査:中心暗点を呈するものが多いが,様々な視野障害を呈しうる。
□発症後しばらく経過した後に,視神経萎縮を呈しうる。
□視野検査,採血検査,頭部CT/MRI撮影などで,眼窩内病変を含め,炎症性,脱髄性,中毒性,圧迫性,放射線障害など,他の疾患を除外する必要がある。
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