□複視とは両眼の視線が合わないために像が2つに見えるもので,眼運動神経麻痺などの神経原性,重症筋無力症の神経筋接合部障害,甲状腺眼症などの筋原性,眼窩壁骨折などの機械的な原因がある。
□両眼を開けるとものが2つに見え,片眼を閉じると1つになる。
□外眼筋麻痺では,筋の作用方向に眼を向けると複視の程度がひどくなり,反対方向に眼を向ければ複視の症状は軽減する。
□神経原性では症状に日内変動はなく,起床時症状がないか軽度で,日中から夕方にかけて強くなれば重症筋無力症を,逆に起床時最悪で日中軽快すれば甲状腺眼症を考える。
□眼前に提示したペンライトを見せ,片眼ずつ交代に遮蔽して眼が水平に動けば内斜視または外斜視,上下に動けば上下斜視である。
□眼前に提示した水平線を見せ,片眼ずつ交代に遮蔽して線の傾きが異なれば回旋斜視である。
□血液検査:抗GQ1b抗体〔フィッシャー(Fisher)症候群〕,抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体,抗MuSK抗体(重症筋無力症),甲状腺関連自己抗体(甲状腺眼症),血清IgG4(IgG4関連眼疾患)を測定する。
□アンチレクス®テスト(テンシロンテスト),アイスパックテスト(重症筋無力症)を行う。
□頭部MRI:眼運動神経に対する圧迫病変(神経原性),外眼筋の腫脹(甲状腺眼症:図1,IgG4関連眼疾患:図2,MALTリンパ腫),眼窩壁骨折と組織の嵌頓・牽引(眼窩壁骨折)の発見に有用である。
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