□起立性調節障害(orthostatic dysregulation :OD)は思春期に起こりやすい循環系自律神経機能不全であり,自律神経中枢の機能異常に関連した症状(睡眠障害,体温調節異常,精神症状)と末梢性自律神経機能異常に関連した様々な臓器症状(心血管症状,消化器症状,皮膚汗腺症状など)が出現する。そしてこれらの複数の症状が不均一に,また不安定に現れることが多い。
□ODには特徴的な循環動態を示す数種類のサブタイプが存在するが,その中でも,起立直後性低血圧,遷延性起立性低血圧,体位性頻脈症候群,血管迷走神経性失神が重要である(図1)。
□最近,新しいサブタイプ(hyper-response型:起立後に著しい血圧上昇を示す,脳血流低下型:起立後の血圧・脈拍に異常なく,脳血流が低下する)が報告された。今後の研究が待たれるところである。
□身体症状として表1の11項目が3つ以上あてはまるか,あるいは2つであってもODが強く疑われる場合にはガイドラインのアルゴリズム(図2)に沿って,基礎疾患の除外→新起立試験→心身症としてのODチェックリストを実施し,身体的重症度と心理社会的関与の有無を判定し,治療に進む。
□検尿,便潜血,献血一般,電解質,腎機能,肝機能,甲状腺機能,心電図,胸部X線または心臓超音波などにより,基礎疾患を検索する。疑いがあればその疾患を精査する。
□基礎疾患がない場合は失神を疑い,ホルター心電図,脳波検査,HUT(head-up tilt test)などを行う。
□以上によっても患者の症状が説明しきれない場合には,新起立試験を実施する(図1)。
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