□先天性胆道拡張症(congenital biliary dilatation)とは,胆道の発生異常による先天性の疾患である。様々な程度の総胆管拡張を認め,膵胆管合流異常症を合併する。
□閉塞性黄疸,胆管炎,膵炎を主症状とするが個人差が多く,成人に至るまで無症状のこともある。放置した場合,高率に胆道系の癌が発生するため,原則として外科治療が必要である。以下,主に小児患者の管理について述べる。
□膵胆管合流異常症に起因する胆管炎,膵炎による腹痛,嘔吐,また,胆汁うっ滞による閉塞性黄疸や白色便がみられる。
□新生児では,拡張総胆管の圧迫による消化管通過障害を生じることがある。胆道の形態による分類法(Todani分類,Alonso-Lej分類など)があるが,治療方針は基本的に同じである。
□急性胆管炎や急性膵炎で発症した場合には,血液検査上,白血球増加やCRP上昇などの炎症反応以外に,胆道系酵素の上昇や膵アミラーゼの上昇などがみられる。さらに,超音波検査で総胆管の拡張を認めれば,診断をほぼ確定できる。
□胆道の形態や膵胆管合流異常症の有無を精査するためには,超音波画像装置や,核磁気共鳴画像装置による胆管膵管像(magnetic resonance cholangiopancreatography:MRCP),造影CT検査が用いられる(図)。これら画像検査の解像度は近年飛躍的に向上しており,総胆管の拡張はもとより,膵胆管合流異常症の有無を含めた膵管,胆管の全体像を描出できることもある。しかし,総胆管拡張を伴わない膵胆管合流異常症の乳児例などでは,これらの検査をもってしても確定診断には至らないことがしばしばある。
□診断困難例に対しては,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopan-creatography:ERCP)が考慮されるが,小児例では手技的に容易ではない上全身麻酔が必要であり,適応は限られている。診断の最終手段は,開腹下の直接胆道造影である。
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