□ウエスト症候群(West syndrome)は,群発するスパズムと脳波上のヒプスアリスミア,発達の停滞・退行を特徴とするてんかん症候群である。
□明らかな基礎疾患を有する症候性と,基礎疾患がはっきりしない潜因性とがある。前者には新生児低酸素性虚血性脳症,染色体異常症,結節性硬化症などがある。
□有病率は1万出生あたり2~3とされる。3~7カ月齢が発症のピークで,多く(約90%)は1歳未満に発症する。
□群発するスパズムが特徴である。頸部・体幹・四肢を両側対称性(症候性では非対称性もある)に短時間屈曲または伸展させ,ごく短時間の意識減損を伴う。発作は数秒から40~50秒間隔で20回から時に100回程度群発する(シリーズ形成)。入眠中より覚醒直後や入眠間際に多く,啼泣を伴うこともある。
□発症後の発達遅滞・退行を認めるが,発症前から認める場合もある。通常発達遅滞は重度であるが,乳児期早期での発症では発達遅滞がはっきりしないこともある1)。
□脳波検査:脳波でヒプスアリスミアと呼ばれる,高振幅徐波を背景とし半球内および半球間の同期性に欠ける多焦点性棘波を認め,無秩序な外観を示す(図)。ノンレム睡眠時に最も多く,覚醒時にも認める一方,レム睡眠期にはあまりみられない。この発作間欠期脳波異常としてのヒプスアリスミア自体を非けいれん性発作重積症ととらえることもできる。可能ならば24時間ビデオ脳波検査を行い,発作の様子も合わせて確認しながら覚醒・睡眠での脳波所見を記録するとよい2)。発作時脳波は,速波群発,高振幅徐波発射,低振幅化などがある。
□血液・尿検査:代謝性疾患や染色体異常等の基礎疾患を検索する。血算,電解質・アンモニア等を含む一般生化学のほか,乳酸・ピルビン酸,アミノ酸分析や有機酸分析,染色体検査等を行う。
□頭部MRI:片側巨脳症や皮質形成異常等といった基礎疾患検索を行う。場合によってはSPECT検査も考慮する。
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