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ウィルムス腫瘍

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-18
福澤正洋 (大阪府立母子保健総合医療センター名誉総長)
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  • ■疾患メモ

    ウィルムス(Wilms)腫瘍は代表的な小児固形腫瘍の1つであり,小児期腎腫瘍の80%を占める。かつては腎明細胞肉腫や腎ラブドイド腫瘍もウィルムス腫瘍に含まれていたため,これらとの混同を避けるため最近は腎芽腫(nephroblastoma)と明記することが多くなった。

    本腫瘍は胎生期の後腎芽組織から発生すると考えられ,約5%が両側性に発生する。発生率は約1万人に1人とされ,5歳までに90%が発症する。

    本腫瘍は泌尿生殖器系の異常に合併する頻度が高く,遺伝子異常としては,11p13に位置するWT1遺伝子が知られている。虹彩症,ベックウィズ・ヴィーデマン(Beckwith-Wiedemann)症候群でも高率に本腫瘍が発症する。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    多くは腹部腫瘤,腹部膨隆を主訴とするが,時に血尿(約20%に発症)で来院することもある。

    自覚症状を欠く場合が多いが,腫瘍による圧迫症状として,食欲不振,体重減少,不機嫌,発熱を呈する場合もある。

    無虹彩症,片側肥大,ベックウィズ・ヴィーデマン症候群,デニス・ドラッシュ(Denys-Drash)症候群などの奇形を伴うこともある。

    【検査所見】

    血液検査では貧血やLDHの上昇がしばしば認められるが,腎芽腫に特異的な検査所見はない。血尿は約20%の症例で認められる。

    単純X線:腹部単純X線では腫瘍陰影と腸管の圧排所見で,神経芽腫,奇形腫に時に認められる石灰化像は稀である。胸部X線にて肺転移の有無を検索する。

    腹部超音波,CT:腎臓に充実性の腫瘍が認められ,出血,壊死,嚢胞などの所見を伴うことがある。腎静脈,下大静脈に腫瘍塞栓がないか検索する。転移部位として肺が最も多いため,必ず胸部CTを同時に撮影して肺転移の有無を精査する。

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