□不登校は疾患名ではない。文部科学省の定義によれば,疾患などの原因以外で年間に30日以上連続して休んでいるものを言う。
□平成12年まで微減傾向にあったが再び増加傾向に転じ,平成14年度では,小・中学生で12万2902人が不登校とされている。そのうち半数は当該年度に新規に不登校になっている。
□学校に行かない/行けないということは,学校に行くのが自然であると考えれば社会不適応の症状である。わが国では物事を善悪に置き換えて判断する傾向があり,不登校はしばしば"悪いこと"とされるが,実際に不登校に陥っている子どもたちの状況は様々であり,医療的な介入を必要としている場合もある。
□怠学型:境界知能の場合も含めて,学業不振や学業嫌いから不登校になるものを指す。不登校になることで一時的には精神的に落ちつくこともあるが,夜間の徘徊や非行,ゲーム依存などからひきこもりへ移行することもある。
□逃避型:教員による過度の指導やクラスでのいじめの被害から行きしぶり,不登校になる。背景に発達障害があり,それがいじめにつながっている場合もある。児はぎりぎりまで頑張って登校するが,限界になって登校できなくなる。再登校刺激は禁忌である。まずは子どもの話をきちんと聞いて対応を考える必要があり,行動やコミュニケーションの問題が背後にある場合には医療機関への相談も必要となる。自殺のリスクでもある。
□疾患型:背後に身体疾患や精神疾患があり,不登校になる。身体疾患には過敏性腸症候群をはじめとする心身症や,中等度の持続性喘息,中等症以上のアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患,胃食道逆流による悪心・嘔吐などもある。精神疾患には発達障害のほかに,うつ病,双極性障害,社会コミュニケーション障害,パニック発作への予期不安など様々なものがある。対応はそれぞれの疾患や病態による。再登校は治療経過にもよるが,するとしても徐々に拡大する方向が望ましい。
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