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医者になったらすぐ読む本 《医療コミュニケーションの常識とセルフコーチング》

新人ドクターのためのコミュニケーション指南書

定価:3,080円
(本体2,800円+税)

在庫切れです

立ち読み

著: 奥田弘美(精神科医)
判型: A5判
頁数: 224頁
装丁: 単色
発行日: 2011年04月29日
ISBN: 978-4-7849-4320-3
版数: 第1版
付録: -
医師として知っておくべきコミュニケーションの常識と、ストレスに負けないセルフコーチング術を伝授します€
患者さんの話を聞いて、理解し、指示を的確に伝える。ただそれだけのことが、案外むずかしいのです。?€
「医師としてこれだけは身につけて欲しい」と思うコミュニケーションスキルを、先輩ドクターが伝授します。€
病棟で、外来で、すぐに使えるフレーズが満載です。€
また、ストレスに負けないセルフコーチング術を紹介します。

目次

第1章 コミュニケーション前に押さえておきたい基本
まずはノンバーバルから意識しよう

コミュニケーションはノンバーバルが7割
理想像を表現するためのノンバーバル
まずは見た目から
表情やしぐさも大事なコミュニケーション手段
目は口ほどにものを言う
聴覚のノンバーバル


第2章 医者も知っておくべき一般的ビジネスマナー
最低限これを知らないと恥をかきます

患者さんの常識 vs 医者の非常識
自己紹介は必須
名刺交換 ちゃんと出来ますか?
席次のマナーを知っていますか?
ビジネスメールの書き方


第3章 患者診療に役立つコミュニケーションスキル
双方向に流れの良い会話をつくる

第一印象が会話の流れを大きく左右する
出会いがしらの緊張をほぐすアイスブレイク
会話の基本は《聴く→質問する→伝える》の3ステップ
まずは、自分は聴き手だと意識しよう
患者が話しやすくなる質問フレーズを使おう
共感を示すための簡単テクニック
聴き上手になる簡単テクニック
ここぞというときはゼロポジションで傾聴を
オープン型質問でコミュニケーションを深めよう
言葉の塊をほぐして、相手とのイメージ・ギャップを埋める
未来型&肯定型質問で患者のやる気を引き出そう
相手に沿って、わかりやすく伝える
Ⅰメッセージで心に入りやすい伝え方をしよう
言いにくいこと・大切なことは、枕詞で上手に伝える
積極的に承認して、信頼関係を構築しよう
応用編・こんなときどうする?
『患者がなかなか言うことをきいてくれない』
『患者が話をやめてくれない』
『患者が怒ってクレームを言ってきた』
『患者がなかなか説明を理解してくれない』


第4章 スタッフとのコミュニケーションのコツ
チーム医療の良きリーダーになるために

研修医であってもリーダーとしてのふるまいを求められる
リーダーは上司ではない。他職種を尊重する意識を持とう
忙しくてもスタッフの話をきちんと聴こう
自分の意見や指示を、的確に簡潔にわかりやすく伝える
こんな言い方、態度はスタッフのやる気を削ぐ
このセリフ、態度がスタッフのやる気をアップする
指導医・上級医とのコミュニケーション


第5章 研修医時代を乗り切るためのセルフサポートコーチング
メンタルヘルスと自己実現のためのセルフケア

入念なセルフケアこそが、成功の秘訣
まずは自分自身と向き合う時間を持とう
変化が多いときには、要注意!
心のエネルギーレベルが低下したら心がけたいこと
マイ・ストレスサインを知ろう
ストレスに強くなる生活習慣を身につけよう
仕事へのやる気を引き出すセルフ目標達成法

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序文

コミュニケーションはあなたを守り、育てる?
この本を手にとっているあなたは、たぶん新人医師として毎日忙しく目まぐるしい研修生活を送っておられることでしょう。本書は、そんなあなたに、ぜひ身に付けて欲しいと願うコミュニケーション・スキルを解説したものです。
€
私は現在18年目の臨床医ですが、自らの研修医時代を振り返るに、「コミュニケーションがもっと上手にとれたならば、もっともっと有意義でラクに研修医生活を送れたのになあ」と悔やむことしきりです。今から思うと、自分のコミュニケーション能力が稚拙なために、患者やスタッフ、先輩医師との関係がうまくいかずに、大小のトラブルや心労に悩まされ振り回された日々でした。

チーム医療の現場では、いかに周りの人とコミュニケーションをスムーズに行えるかどうかが、医師としての成長や活躍を左右します。いくら能力や知識が高くても、他人の気持ちをしっかり聞き取り、自分の意志を適切に伝えることができなければ、チーム医療は成り立ちません。先輩医師やコメディカルからの貴重な情報もアドバイスも当然ながら少なくなってしまいます。

また、患者や医療スタッフとのコミュニケーションがしっかりできていれば、医療トラブルに巻き込まれる危険性も大きく低下します。特に研修医時代は未熟な技量のために、患者やスタッフとの摩擦がおこりがちです。その摩擦がこじれて大きなトラブルに悪化するかどうかは、コミュニケーションによる意思疎通ができているかに大きく左右されます。もちろん意思疎通が良くなれば良くなるほど、治療効果がでやすいことは言うまでもありません。

このようなコミュニケーションの重要性に私がはっきり気づいたのは、残念ながら臨床研修を終えたあとでした。しかし、遅ればせながら「コーチング」というコミュニケーション法を学び、「メディカルサポートコーチング法」という医療コミュニケーション法を考案して実践し始めたのでした。その結果、医師としての毎日が非常に安定し、スムーズに医療が遂行できるようになりました。さらに、本法に関する本を出版してからは、医師、看護師、その他のコメディカルの方からも、「患者との関係がよくなった」「スタッフとの意思疎通がよくなった」などとの嬉しい感想を多々いただき続けています。

そこで今回、このメディカルサポートコーチング法をベースとして、特に研修医向けに特化して「これだけは知っておいて欲しい」と思うコミュニケーションのコツをまとめることになりました。研修医時代に必要な医療スタッフ、指導医・上司とのコミュニケーションをテーマに、わかりやすく簡潔に即戦力として活用できるように執筆しています。

€本書でご紹介するコミュニケーションスキルは、医師としてだけではなく、社会人(ビジネスパーソン)として常識的に知っておきたいことも網羅しています。意外なことに、今までの医師は非営利的職業ということで、ビジネスパーソンとして必ず知っておかなければならない基本常識にうとすぎた傾向があります。そのため「医者は世間知らず」などという陰口も世間ではささやかれていたものでした。

€しかしグローバル化が進む現代社会において、これからの医師には、医療人としてだけではなくエグゼクティブ・ビジネスパーソンとして、どのような場に出てもスマートに振る舞えるスキルが必要です。そのような一般ビジネスマナーを最低限知っているかどうかで、社会人としての信頼性や人間性も判断されるといっても過言ではないでしょう。本書を活用して、医療人としても社会人としても、あなたのコミュニケーション能力に磨きをかけていただきたいと思います。

€さらに本書の第5章では、より良いコミュニケーションを作り出すための基本となるセルフコントロール法「セルフコーチング」についても触れました。「コミュニケーションはまず笑顔から」とよくいわれますが、心身の安定したセルフコントロールができていないと笑顔ひとつ作ることはできません。セルフコーチングは、これからの多忙な医師生活を乗り切るためのメンタルヘルスケアとしてもぜひ役立ててください。

€あなたの医師人生を支えていく大切なコミュニケーション能力の基盤づくりに本書をお役立ていただけたら幸いです。

奥田弘美

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