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シミュレーション医療教育ことはじめ【電子版付】 課題とピットフォールを知り、効果的に運営する

シミュレーション医療教育の効果を高め、いかに臨床教育に連結するか、第一人者が解説!

定価:5,170円
(本体4,700円+税)

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編著: 駒澤伸泰(香川大学医学部地域医療共育推進オフィス 特命教授)
著: 今福輪太郎(岐阜大学医学部医学教育開発研究センター 併任講師)
著: 淺田義和(自治医科大学医学部医学教育センター 准教授)
著: 内藤知佐子(愛媛大学医学部附属病院総合臨床研修センター 助教)
判型: A5判
頁数: 168頁
装丁: 単色
発行日: 2023年07月12日
ISBN: 978-4-7849-4192-6
版数: 第1版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

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●シミュレーション医療教育において知っておきたい理論と実践についてバランスよく、コンパクトに解説。
●現在のシミュレーション医療教育における課題を挙げ、それらをどのように解決してより効果的な教育を行えばよいかのヒントが詰まっています。
●最近の医学生・研修医、看護学生の特性に合わせた教育方法を提示しています。
●昨今注目されている、学ぶ側の「心理的安全性」を保つための工夫についても解説しています。

目次

第1章 多様な学修者特性と教育理論を理解する
1 なぜ学修者特性を理解する必要があるのか
2 入学時点での学修者特性─ デジタルネイティブたちへ ─
3 臨床実習前の学修者特性─ 医学部の視点から ─
4 臨床実習中の学修者特性─ 医学部の視点から ─
5 臨床実習前の学修者特性─ 看護学部の視点から ─
6 臨床実習中の学修者特性─ 看護学部の視点から ─
7 新人医療者の学修者特性
8 ミラーの学修ピラミッドを再考する
9 シミュレーション医療教育と臨床教育をつなぐ理論─ 認知的徒弟制 ─
10 シミュレーション医療教育と臨床教育をつなぐ理論─ 経験学修と変容学修理論 ─
11 シミュレーション医療教育の深化に活用できる理論─ 自己決定理論 ─
12 シミュレーション医療教育の深化に活用できる理論─ community of inquiry framework ─

第2章 シミュレーション医療教育におけるピットフォールを克服する
1 シミュレーション医療教育の多様な課題
2 シミュレーション医療教育とICT
3 シミュレーション医療教育とその運営
4 シミュレーション医療教育者の共通言語の必要性
5 シミュレーション医療教育の課題─ 学修目標は適正か? ─
6 シミュレーション医療教育の課題─ カリキュラムは適正か? ─
7 シミュレーション医療教育の課題─ 心理的安全性は担保されているのか?① ─
8 シミュレーション医療教育の課題─ 心理的安全性は担保されているのか?② ─
9 シミュレーション医療教育の課題─ 振り返りの進め方は十分か? ─

第3章 シミュレーション医療教育と臨床教育を連結するための提言
1 ICTの活用に関する提言─ PICRATモデルからみたICT教育活用のポイント ─
2 ICTの活用に関する提言─ XRの活用 ─
3 みんなができるICT活用の実践例
4 シミュレーション医療教育のカリキュラムを高めるための工夫─ 医学部の視点から ─
5 シミュレーション医療教育のカリキュラムを高めるための工夫─ 看護学部の視点から ─
6 効果的に新人研修・院内研修にシミュレーションを取り入れる工夫
7 心理的安全性を保つための方策
8 みんなができる心理的安全性を保つための方策
9 持続可能なシミュレーション医療教育のために
索 引

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序文

~シミュレーション医療教育の壁を乗り越える~
1990年代後半に心肺蘇生用マネキンを活用した系統的な蘇生シミュレーション医療教育がわが国に導入されてから、30年が経過しました。技術の進歩とともに高機能シミュレーターが登場し、近年では遠隔シミュレーションやVirtual Reality(VR)シミュレーションが普及しています。しかし、これまでの教育史を振り返っても「新たな教育技術には新たな課題が発生する」ことは間違いありません。例として、遠隔シミュレーションの場合、学修者間の相互作用制限は不可避であり、VRに長時間没頭することによる身体的な影響も検討する必要があるでしょう。
シミュレーション医療教育法と臨床教育は、「模擬的に経験を積み、その経験について熟考し、新たな学びを得る」という経験学修論理に「共通」基盤があります。臨床教育では臨床現場の“経験”を得て、シミュレーション医療教育法では模擬的な“経験”を得るわけです。それらの「経験を深く考えて新たな学びを得る」というプロセスが学びの根底に存在します。
情報駆動型社会Society 5.0では、社会構造だけでなく医療を含む「教育システム」も大きく変化すると考えられます。そのような新たなステージにおいても、「アクティブラーニングこそが医療教育という学びの中心」という原則は大きく変わらないはずです。どのように教育技術が進歩しても、「学びの主役は学修者である」ことは間違いなく、心理的安全性を担保しながらアクティブラーニングを行う環境整備が期待されます。
シミュレーション医療教育法では、模擬体験の後にデブリーフィングという熟考するプロセスを経て、新たな学びを得ます。深い振り返りが必要なデブリーフィングの場では、学修者が安心して「熟考・振り返り・反省」を行うために、心理的に安全な環境を用意すべきです。学びのプロセスが心理的かつ物理的に安全でない場合、学修効果は著しく低下します。アクティブラーニングを行うためにも心理的安全性の担保は必要不可欠であり、これはSociety 5.0の学びにおいても同様です。
特に、ニューノーマルのシミュレーション医療教育では、遠隔での施行形態も示唆されます。しかし、遠隔でのデブリーフィングやファシリテーションに対して我々は不慣れであり、「心理的安全性」を保つための工夫が不十分なこともあるかもしれません。
本書では、現在の医療系シミュレーションを取り巻く多様な問題について、学修者特性の面からの課題と克服法を、その分野のプロフェッショナルが解説しました。あらゆる分野のシミュレーション医療教育における様々な壁を打ち破るための突破口として本書が役立つことを祈念します。

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