著: | 稲田英一(順天堂大学 名誉教授、公益財団法人東京都保険医療公社 東部地域病院 病院長) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 272頁 |
装丁: | 単色 |
発行日: | 2021年07月27日 |
ISBN: | 978-4-7849-6305-8 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
● ベテラン麻酔科医の先生には共感と納得,若手麻酔科医の先生には教訓と示唆が得られる1冊
●後進に伝えておきたい知恵を詰め込みました。
●著者の麻酔科医としての根幹を語っています。
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目次
1.麻酔科医とは、麻酔科医の仕事とは
2.学習法、専門医試験対策
3.教育・トレーニング
4.キャリアパス
5.米国レジデントの生活:日常生活編
6.米国レジデントの生活:臨床編
7.On call
8.集中治療、ICU
9.安全な麻酔のために
10.危機管理
11.術前診察とインフォームドコンセント
12.モニタリング
13.薬物投与
14.手技
15.手術室の管理
16.コミュニケーション
17.Do's and Don'ts
本書は麻酔や周術期管理における心構えや、日常医療や生活における感じ方をまとめたものである。広く通用するものもあれば、私だけのいわばローカルルールのようなものもある。姉妹編である『麻酔への知的アプローチ』は、麻酔や周術期管理についての知識や考え方をまとめたものであり、2~3年ごとに改訂を加え、常に最新知識を盛り込むようにしてきた。本書は、逆に改訂をあまり必要としない本である。医学生の時や、マサチューセッツ総合病院(MGH)での留学生活や、臨床医として、大学の教官として、あるいは学会の中心的メンバーとして学んだことなど、私が医師や麻酔科医として生きてきた根幹としてきたものについて述べた本だからである。古臭いものもあるかもしれないが、多くはパールのように輝いているものだと思っている。私が経験した教訓的な麻酔症例についても述べ、当時のノートも参考のためにつけてある。私の当時の失敗や苦労を、現代の麻酔科医であればどのように解決し、乗り越えていくかを考えていただきたいと思っている。私がMGHで多くのことを教わったメンターたちの写真も載せてある。この人たちは単に私のメンターや友人というだけでなく、世界の麻酔科学を牽引してきた人たちでもある。こういった人たちがどのように麻酔科診療について教えてくれたのか、世界にどのような道を示してくれたのかも是非、知ってほしいと考えた。
留学時代の経験についても多くのページを費やした。現代と40年も前の留学事情はもちろん異なっている。こまかな生活のことよりも、文化的な違いを知ってもらい、縦横に張り巡らされた評価制度を利用したPDCAサイクルの活用など、日本においても導入すべきことについて考えたり、日本に生活できることのありがたさも感じてもらいたいと思っている。最近は留学希望者も減り、また、留学するのも難しくなってきた。しかし、留学は医療だけでなく、外国文化を学び、逆に外国文化を学ぶことにより日本文化を理解する素晴らしい機会である。苦労も多いかもしれないが、非常に楽しいものであり、自分の世界を広げてくれる。留学を目指す人の参考になれば幸いである。
大見出しは内容を端的に示すようなものとした。私自身はあまり命令的な言い回しは使わないが、本書では印象的なやや強い言い回しにしたところもある。大見出しについた英文と合わせて読んでいただくと、すんなりと入っていくのではないかと思う。
本書が麻酔科学や関連領域について学ぶ人、留学を目指す人の役に立つことを願っている。
2021年7月1日 稲田英一
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。