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【他科への手紙】腎臓内科→整形外科

No.4923 (2018年09月01日発行) P.55

今井直彦 (聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 講師)

登録日: 2018-08-29

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  • 整形外科の先生方にはいつもお世話になっております。腎臓内科は内科の中でも患者に特に高齢者が多いため、当科と整形外科に通院している患者が非常に多いことに驚かされます。今回は、整形外科の先生に多くみて頂いている骨粗鬆症の薬物療法として使用される、活性型ビタミンD製剤についてのお話です。

    ミルク・アルカリ症候群という病気を御存じかと思います。20世紀の前半に、消化性潰瘍に対して大量の牛乳とアルカリ剤(重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム)を一緒に飲むという治療が行われていました。しかしその治療法を受けた患者さんの中で高カルシウム血症、急性腎障害、代謝性アルカローシスを3徴とした病態を認めるようになり、これをミルク・アルカリ症候群と呼ぶようになりました。

    その後、H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬の登場により、こういった治療は行われなくなり従来のミルク・アルカリ症候群はみられなくなりました。その代わりに登場してきたのが現代のミルク・アルカリ症候群と呼ばれる、カルシウム・アルカリ症候群です。これは骨粗鬆症の薬物療法として使用される活性型ビタミンD製剤が一つの原因となっています。サイアザイド系の利尿薬の内服や口渇感の低下により脱水になりやすい高齢者が活性型ビタミンD製剤を内服すると、高カルシウム血症による急性腎障害を生じる危険が特に高く、十分な注意が必要です。

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