著: | 井尻慎一郎(井尻整形外科院長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 152頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2025年04月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6697-4 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
◆ 整形外科以外の一般外来やクリニック等でも診る機会の多い腰痛について、知っておきたい知識を様々な角度からわかりやすく解説。
◆ アップデートされた腰痛に関する知見から鎮痛薬の考え方・使い方、患者に指導する体操などすぐに役立つ実践的な内容に加え、実際の診察法の動画も収載しています。
◆ 労災で一番多い原因・疾患でもある腰痛。本書には腰痛対策のための具体的な職場の改善策など、産業医必読の内容も盛り込まれています。
◆ 患者としても長年腰痛と付き合い、2度の手術も受けている著者ならではの視点で贈る本書は、腰痛の診療に携わるすべての先生に役立つ一冊です。
第1章 腰痛の考え方のパラダイムシフト集
コラム 怪我をしたら, 冷やす? 温める?
コラム 筆者のおすすめ体操─いつでもどこでも気楽に適当に
コラム 腰痛体操・少し上級編
第2章 腰痛や痛みに関するtips集─患者に聞かれたときに説明しやすいように
コラム リハビリテーションとは?
第3章 腰痛の基礎知識
コラム 湿布の歴史
第4章 見逃してはならない危険な腰痛─ red flagsに注意
コラム 痛みには閾値がある
第5章 筆者の腰痛の考え方と治療法
コラム 湿布でかぶれるのはなぜ?
第6章 腰痛の診察法─問診と診察の重要性
コラム 湿布が原因に?「アスピリン喘息」
第7章 下肢末梢神経障害の鑑別診断とそのコツ
コラム 冷湿布と温湿布の違い
第8章 画像診断
コラム 「笑い」は痛みも和らげる?
第9章 整形外科的鎮痛薬の考え方・使い方
コラム マッサージや指圧の適正頻度
第10章 代表的な腰痛疾患・たまにしかないが知っておくべき疾患
コラム ぎっくり腰は予防できる
第11章 腰痛と労働
コラム 寒くなると,痛みがひどくなる? ─気象病
第12章 産業医が知っておくべき腰痛の考え方と対応法,そして専門医に紹介したほうがよいとき
付録 私の腰痛35年史 整形外科医が腰の手術を受けたら〜2回の手術の体験談
巻頭言
腰痛は疾患名ではなく症状のひとつですが,「腰痛症」という疾患名が多くの疾患を含むひとつのカテゴリーとして,日本整形外科学会の用語集にも掲載されています。
2022年度の国民生活基礎調査によれば,男性でも女性でも病気や怪我など何らかの症状のある有訴率は,腰痛が第1位で肩こりが第2位となっています(第3章参照)。80%の人が生涯で一度は腰痛を患うとも言われています。
デスクワークや運転などで同じ姿勢で座っていることが多い職業や,運輸・宅配・介護などで重い物や人を抱えることの多い職業も増え,さらにストレスの多い時代ということもあり,腰痛は個人にとっても社会にとっても大きな負担になっています。
本文でも説明しますが,労災で一番多い原因・疾患は腰痛です。産業医の先生が腰痛で相談を受けることは少なくないと思います。
筆者は腰痛の専門医ではありません。それゆえこの本では腰痛のすべてを解説することはできていませんし,筆者独特の考え方が多いかもしれません。しかし,整形外科医になってからは腰痛に何よりも興味を持ち,勤務医時代には腰痛の手術も多数行い,開業して25年になりますが,多数の腰痛患者を診療してきました。それなりに勉強をして,経験を積んできたつもりです。
この本では,主にプライマリ・ケアに携わる医師の方々を対象として,腰痛とはどのようなものか,どう考えどう対応すればよいのかを解説したいと考えています。腰痛を網羅した内容ではないので,ご批判,ご意見も多々あるかと思いますが,整形外科以外の病院の一般外来や開業の外来でも腰痛を訴える患者は少なくないと思います。その診断と治療に少しでもお役に立てれば幸いです。
2025 年3 月
井尻整形外科院長
井尻慎一郎