厚生労働省老健局の眞鍋馨老人保健課長が29日、都内で講演し、今年度からスタートした介護医療院について「医療・介護の中重度者を地域で支える生活施設」と述べ、地域包括ケアシステムの普及に期待を示した。
講演は都内で開催された厚労省支援事業「介護医療院開設に向けた研修会」で行われた。 介護医療院とは、今後増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズへの対応のため、「日常的な医学管理」「看取りやターミナルケア」等の医療機能と生活施設としての機能を兼ね備えた新たな介護保険施設。
講演で眞鍋氏は、高齢化の進展や地域医療構想による病床の機能分化・連携により、2025年には介護医療院を含む介護施設や在宅医療のサービス必要量が約30万人に上るとの推計を示した。その上で、地域包括ケアシステムの普及・深化に向けた介護医療院の方向性について「医療を提供できる新たな生活施設であり、医療・介護の中重度者を地域で支える役割を担う」と指摘し、「病院が母体のところが多いと思うが、生活施設として地域に貢献し、地域に開かれた施設となることを期待している」と述べた。
会場から介護医療院と介護療養型医療施設との違いを問われた眞鍋氏は、「介護医療院は生活施設であり、医療必要度が高い人の終の棲家となる」と説明。生活施設としての機能については「厚労省が示している施設基準には(入所者1人当たりの床面積は)8m2以上とかプライバシーに配慮した環境整備などがあるが、これはスタートライン。慣れ親しんだ自分の空間とするために、厚労省の基準に加えて、いろいろな工夫ができるのではないか」と述べ、各施設の取り組みに期待を示した。
関連記事
介護医療院のあり方とは(江澤和彦 日本介護医療院協会会長)【この人に聞きたい】