本庶佑京大特別教授のノーベル生理学・医学賞受賞決定で、免疫チェックポイント阻害薬への社会的関心が高まる中、全国がん患者団体連合会(全がん連)が5日、免疫チェックポイント阻害薬を含む「がん免疫療法」に関する注意喚起の声明を発表した。一部の自由診療クリニックなどで、有効性・安全性の担保されていない治療が実施されている現状を念頭に置いたもの。声明は腫瘍内科医の勝俣範之氏(日本医大武蔵小杉病院教授)の監修の下に作成された。
声明では、現在国内で承認されている免疫チェックポイント阻害薬6剤(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、イピリムマブ)の適応をそれぞれ明示し、厚生労働省のガイドラインに準拠した一定の医療機関での投与が推奨されていると強調。一部の自由診療クリニックでは、科学的根拠が不明確な免疫細胞療法との併用や、添付文書の記載から逸脱した投与量での使用、重篤な副作用が出た場合の緊急対応が十分でないなど、「危険な治療が行われている場合がある」として注意を促している。
患者・家族に対しては、▽主治医や治療を受けている医療機関の医療者に相談する、▽自費診療で行っている免疫療法の情報には注意する―などを呼び掛けている。