日本医師会の松本吉郎会長は4月23日の定例会見で、次期2026年度診療報酬改定に向けた課題として、「他産業に負けない賃上げを実現できるように医療機関経営の収支を改善させることに尽きる」と強調した。
松本会長は4月14日に開かれた自民党社会保障制度調査会に厚労省が提出した資料を基に医療機関経営の現状に言及。病院と診療所の24年度の経常利益率の推計(最頻値)が、病院のみを運営する医療法人は▲1.0~0.0%、無床診療所のみ運営する医療法人は▲3.0~▲2.0%、有床診療所のみ運営する医療法人は▲1.0~0.0%となっており、22年度、23年度の0.0~1.0%という数値と比較し、「24年度診療報酬改定後に経営状況が著しく悪化している」との見方を示した。現状の経営悪化への対応が急務として、「まずは補助金での早期の適切な対応が必要であり、さらに診療報酬で安定的な財源を確保しなければならない。現在の医療機関の窮状を見ると次期26年度改定の前に期中改定も必要な状況にあり、補助金と診療報酬の両面からの対応が必要」と強い口調で訴えた。
松本会長は同日の会見で、次期改定に向けた日医のスタンスも改めて表明。診療報酬が公定価格であり「一般産業のようにコストを価格に転嫁できない」という性格を踏まえ、物価上昇が続く中、これまでのようなコスト増を伴う診療報酬の引上げではなく、「純粋な引上げが不可避である状況にあることを次期改定に向けた議論のスタートにするべき」と主張した。